幸魂奇魂

niginigi32014-05-29

 「さきたまくしたま」と読むようです。さきみたま、くしみたま、とする解説も見ましたが、大国主命に国の作り方を協力するとした神、という。今日は「なぜ八幡神社が日本で一番多いのか」(島田裕巳幻冬舎新書)の書籍紹介、です。冒頭、出雲の大国主命を引き合いに出したのは時節柄、ということにしておきます。「出雲大社の国造の家は現在では二つに分かれている。出雲大社の本殿の西側には(中略)千家があり、東側にはもう一つの北島家がある。千家と北島家はもともと一つの家だったが、14世紀の半ばに二つに分かれた(後略)」(本文155P)。この出雲の話を見るだけでも興味を引きます。

 八幡、天神、稲荷、伊勢、出雲、春日、熊野、祇園、諏訪、白山、住吉の信仰系統、という副題をつけていますが、それぞれの神社についての基礎知識が書かれていて、神様に疎いものでもなるほどそうなのかと理解できるものとなっています。

 私の本署を購入した動機は、日本にはなぜ信仰心が定着しないか、というようななんとなくあまり根拠はありませんが、苦しいとき以外における神様仏様、の扱いが低くてもさして(道徳的に)問題にならない国家、国民性、を分析してほしかった、という点にあります。

 古事記、には267柱、日本書紀一書独自で59柱、の神が登場し合計327柱、は八百万の神、というわりには意外に少ない、と著者は言います。しかし、日本では神話に出てきていない神がたくさんいると、たとえば稲荷神社には1万、靖国神社には246万柱の神がいる、と、指摘しています。周知のとおり、靖国神社には戦死者を祀っていますがそれは英霊として。神様になって祀られています。

 このあたり、この本書の主題ではないわけですが、私にとってはおおいに、日本人の語る神、というものが、なんだかなんでもあり、みたいな、ちょっと功績があれば神様でいいではないか、というような極めて現実的経済的合理性、に基づくものに思えて関心があるところです。家康、もそうですし。

 さて、細かいことにこだわりがないといえばそれはそれで、日本人が生き延びてきた処世術とかかわりがあるのかもしれませんが、一度少しだけでいいから、深く掘り下げてみませんか、というように感じさせる書、ということでこの書籍を紹介します。