井原慶子さんの講演

12月9日、交通安全市民総ぐるみ大会での井原慶子さんの講演が素晴らしかったことはその日のブログに書いたのですが、担当者に確認したところ内容のシェアについて、未確認だったようなので内容には触れていませんでした。が、今週確認したところ、動画でなければ大丈夫とのご承諾をいただいたようなので、少しだけ触れさせていただきます。(確認が講演前になかったのは、講師にとっては不愉快な思いをさせてしまったのではないかと心配になりました)

さて、丸一日、ル・マン24時間レース(フランス)では公道を時速340キロで走らなければならない彼女は、10キロ(20だったか)走って筋トレ二時間、その後また走って、50メートル泳ぎを20往復、というような過酷なトレーニングを積む、という話から入りました。急カーブを曲がるときには5Gの力が加わる、お相撲さん二人に寄りかかられるような力、だといいます。

体にもピッタリシートベルト、頭にも6本つけている、と。時速50キロでも追突した場合、頭の部分は30センチも伸びるのでフロントガラスに激突してしまうとのこと。入念な事故対策です。もちろん、車も頑丈で、映像で見せていただきましたが、クラッシュしてコースアウトして横転しても、レーサーは無事でいられるようなくらい、運転席は頑丈。ロケットと同じようなカーボンファイバーを使用しているという。このあたりは、車に詳しい方には常識なのかもしれません。

日本で車の事故がなぜ多いのか、そのあと触れていくのですが、たとえばフランスのご友人が日本の道路を走って「日本人はなんていじわるなの?」と言ったそうです。海外では、追い越し車線をそのまま車が走行することはないと。車に乗った時に人が変わるのではなく、車に乗った時が本性だ、とも。車に乗ったことによる匿名性、攻撃性が、事故の元になる。

だから彼女が訓練するレーサーには徹底して交感神経、副交感神経が働くようにする。レースは、1時間も走れば3.5キロは痩せてしまうくらい厳しい。心拍数は190台にもなる。だから直線コースでは呼吸を落ち着かせなければならない。態勢を維持するために筋肉強化も必須。

運転中は神経を研ぎ澄まし、どんな小さな物音でも聞き分けたり、目に見える情報も逃さない、そしてその情報はピットにいる十人のスタッフに伝えて即分析、対応をとる指示が出される。

事故を起こしそうになった時はハンドルを切るのではなくスピードをまず落とす。とにかく衝撃を少なくすることが第一になる。ハンドルを切ると、その時は周囲の状況がインプットされてはいないので他者に迷惑がかかる可能性がある。


私が記録した、記憶した内容はだいたい以上であとは不正確なので書けません。井原慶子慶応義塾大学特任准教授、カーレーサーのお話は、拝聴する前に思っていたよりもかなり意味のあった内容でした。

こうした講演内容が、せっかく文化会館小ホールで講師料を支払って実施したのであれば、会場にいる100人程度で話がよかったね、で済ませていたらもったいないではないでしょうか。交通事故が多発して、また年末には必ず事故のリスクが高まるのですから、せっかくの内容をぜひシェアしていただきたい。昨年10月末までの市内の交通事故件数が780件なのに対して、今年は854件、同月比で1割近くも増加しているようです。

交通事故が多い地域であることは間違いないので、くれぐれもお互い、気を付けましょう。