ふるさと納税

昨夜、ふるさと納税についてのフォーラムがあり参加してきました。

小さな自治体の町長お二人からお話を伺うことができ幸甚。鳥取県日野町、北海道ニセコ町

自治とは何か、納税とは何か、寄付とは何か、根本を考える機会。この機会をすべての自治体で行い集大成として国会での議論を経て、真に「ふるさと」を大切にする機運の醸成と地方の存続につながる施策へと導かれるべきであろうと感じました。貴重な位置にいらっしゃるお二人は堂々と「社会正義」という言葉を使われたり、ふるさと納税そのものを否定していないと言いながら具体的な提案(たとえば「ふるさと住民票」)をされたりして会場の参加者に多くの示唆を与えてくれました。

返礼品が高額になり競争が激しくなること、エスカレートしていくことの問題が先日新聞でも報じられました。フォーラムでは、この記事を担当された記者さんも参加していて、返礼品の問題にとどまらず、ふるさとにお金が流れることには実際になっていない点や地元経済を潤すという意味でも長い目で見たときにこれが効果があるといえるだろうかという点についても課題意識があるという趣旨の発言をされました。

多くの税(寄付)を納めた人が多くの恩恵を受けるというのは税制の在り方としておかしい、という提起や、寄附文化が日本にはないという人がいるがそれは違いむしろシャウプは日本の戦後寄附での助け合いに依っていたところ、それを税でおこなうようにすることとして戦後の税制の基礎を作った話などもされたことは私にとっては記憶しておきたいことです。

そもそも、寄付、とは見返りがないものではないか。そういうものであるはずだということは、日本の現状ではもはや届かない声となってしまうのでしょうか。似たような感覚を依然抱いたことがありそれは「有償ボランティア」という言葉に接した時なのですが、ボランティアは無償であろう、という前提が崩れたことを感じたのでした。

わたしは議会でも、質問を通じて人口の問題で住民票の奪い合いには意味がないという指摘を数回行っています。国の施策によってあおられているという面は否定できないまでも、たとえば住んでいるところと故郷とで両方に権利を持てるような形が必要ではないでしょうか。とくに東日本大震災のあと、避難が長期化している人々がまだ多数いらっしゃることを考えた時、現実的な課題であることは間違いないですから。

厚木市のような、首都圏の中にある自治体は、本当に厳しい状況下におかれた自治体とは同一に議論するのはいささか乱暴でしょうが、ふるさと納税(いちおうやっている)に代わりうる「真の」寄付文化の定着を目指して先進例を実践してもらいたいものです。


<以下、フォーラム案内の一部抜粋>

   第224回J.I.フォーラム  5月19日 開催 

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  「取りあい」から「関わりあい」へ  ―ふるさと納税を反省する―


ふるさと納税」の広がりとともに返礼品競争など弊害も目立っています。自治体間での「寄付」の取りあいは、自治体と納税者とのつながりを強めるという本来の趣旨と大きくずれていますし、長続きしません。

人口減少時代には、税金や住民を「取りあう」のではなく、自治体に関わる人をふやすことが大事だと思います。その有力な方法が「ふるさと住民票」です。

複数の町で活動し、暮らし、自治体と多様な関係を持つ人が多くいる現代、自治体と住民の関係を、新しい視点に立ち、考え直してみたいと思います。

  ◯日 時:平成28年 5月19日(木) 18:30〜20:30(開場18:00)

  ◯会 場:アルカディア市ヶ谷 6階 「伊吹」 (千代田区九段北4丁目2番25号)TEL 03-3261-9921

   ゲスト:景山 享弘(鳥取県日野町長)

       片山 健也(北海道ニセコ町長) 

      土居 丈朗 (慶應義塾大学 教授)

  ◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

  ◯主 催:構想日本

  ◯定 員:120名