マイナンバー 運用への危惧

紹介したい記事があります。

基本的にICT活用をすすめる雑誌、「自治体ソリューション」、2月号の
自治体間格差を生じさせないマイナンバーの活用が大前提、とした埼玉県北本市長の石津賢治さんの文章は関係者必読、勉強会を開催して継続して研修をしていただきたいと思います。


(以下引用、前略)
 例えば、地方分権や今度の地方創生など、国が決めた制度には全力で取り組みますし、ICTについても住民サービスの向上、あるいは行政の効率化に結び付くものであれば、積極的に取り組みます。ただ、先ほどの税の徴収システムのように自治体間格差が生じるのは、本来の地方自治の姿ではないと思います。例えば、子育て支援を充実させることによって近隣の自治体の若い世代を呼び寄せたり、税の優遇制度などで企業を誘致してもゼロサムでしかありません。結果的に社会全体のプラスにはならないのです。

 マイナンバーについても、たしかに行政の効率化を図ることはできますが、利便性を追求すればするほど管理社会になっていくというデメリットもあるわけです。しかも、最初は社会保障と税だけですが、国の財政状況や今後の超高齢社会をかんがみれば、いずれ健康・医療・介護、教育、財産など、あらゆる情報を1つの番号、1枚のカードで捕捉される時代が来るかもしれません。

 例えば、遺伝子検査などの健康情報が独り歩きすると、恋愛する前にお互いの疾病リスクを確認しあう社会になるかもしれません。本当に国民、住民は、そういう社会を望んでいるのでしょうか。この機会に一度立ち止まって、一方的に利便性を追求することで行き着く先の社会について、全体で考えるべきではないでしょうか。
(引用以上、後略)

その他、この制度は自治体ごとで付加的サービスを提供できるので更なる格差を生む可能性もあると指摘しています。これらの指摘、懸念材料はもっともなものとおもいますがいかがでしょう。


■地方創生批判

月刊ガバナンス、も健闘しています。2月号では「住民の幸福度」という「指標」を考える特集を組んでいます。厚木市のように、日経グローカルのような深みのない表面的な数値を追う傾向に一喜一憂する自治体行政には未来はありませんが、この奮闘する雑誌を少しでも活用してみるという向きはないのだろうかと残念でなりません。

市民の常識vs役所の常識、というコラムで福島大学行政政策学類教授の今井照(いまい・あきら)氏、は「地方創生の罠? 地域活性化という病」とした文章を披露しています。短い文章でしたが素晴らしいものでした。結論だけここに書いても薄っぺらくなるので避けますが、ほんとうは書いてしまいたい衝動でいっぱいです。紹介したいですし共有もしたい。

また、地方の個性をどこまで尊重できるか、とした毎日新聞論説委員の人羅格(ひとら・ただし)氏の一文も検証に値するものと思われます。政府の進める政策が「グローバル経済的な感覚の強さ」に比して

 自治体で根付きつつある「地産地消」「自給型」のようなアプローチはほとんど顧みられていない
と警鐘を鳴らしているのです。


いずれも、さまざまな検証の必要性を説いていると受け止め、先入観にとらわれずにおおいに比較検討すべきというのが行政の本来の役割ではないでしょうか。


いずれにせよ、これら貴重な文献類、短文ではありますが、活かさずにおくのはもったいない話です。検証希望者を募りあい勉強会を開いてもらいたいものです。