10/21第10回地域医療政策セミナー

niginigi32014-10-23

表題のセミナー、全国自治体病院経営都市議会協議会が主催の「第10回地域医療政策セミナー」に、厚木市議会からは正副議長プラス10名の議員が参加しました。毎回、厚木市議会から多数の議員が参加しているセミナーで、参加費を取らないのにこれだけ内容が充実している講演を聞かせていただけることにありがたい思いがします。

正木義博氏(済生会神奈川県支部支部長)による「激動の時代の病院経営とは」〜これからの経営マネジメントと地域連携を考える〜、および、和久祥三氏(兵庫県立柏原病院小児科部長兼地域医療連携部長)による「志を救われた泣き虫小児科医の一例」〜地域医療再生のヒント〜の講演をじっくり聞かせていただきました。


公的医療機関を抱える自治体、は多くの悩みを持ちます。そして地域、病院ごとに具体的な課題は異なるものです。されど、共通の問題もあり、よい実践例などを参考にして経営悪化を防いだり医師不足を解消したり、危機を乗り切るために役立てられたらよいのです。ただし、単なるノウハウ、ハウツーといったマニュアルを求める意識では諸々の解決にはいたらないと心しておかなければならないでしょう。

前段の正木氏の講演は、熊本での経営実績、をもとにした成功例、が中心。病床が余っている、ために地域連携、紹介と逆紹介への動機付けが明白になる、ということがよくわかりました。当たり前の話ですが。医療組織の経営マネジメント、経営管理を専門職として育てていく土壌が必要とされているといった趣旨の話がなされ、時代に対応するという意味ではこれもその通りなのかなあとは思いました。いっぽうで、国のさじ加減で医療政策が誘導されていることを大前提にしている話なので、これらは改革というテーマに沿ったものとは言い難い、との印象を持ちます。

後段の和久さんの講演は、私には馴染みの深い、県立柏原病院、お母さんたちが医師、医療を守るために立ち上がったといういまではメジャーな話の舞台となった地域の話で、こうして救われたんだなあということがよくわかった、お話でした。あらたな視点、として

トランセンド

というコンフリクトの解決法について、丁寧にお話がされたことは、今後の地域医療のみならず混迷を深める日本社会全体の病巣を治療するうえで、たいへん参考になるものと思われました。矛盾の存在を否定せず、それはむしろものごとを前進させる、といったようなかんじに受け止めました。


参考図書として紹介された「あの人と和解する」は未読ですが、折を見て必ず読了したいものと思います。