雨模様の数日

niginigi32014-08-26

 土曜日には小学校の枝下ろしと側溝清掃を、PTA活動の一つで行いましたが例年の暑さがなく途中で雷雨になるという、ちょっと記憶にない経験をしました。以来、猛暑日はなく、つらさは半減しているのはいいのですが、列島は相変わらず大雨に苦しめられているというニュースを聞かされて心を痛めています。

 甲子園も夏の風物詩の舞台を終えて、球児たちはあらたなスタートを切っていくことになりましょう。大した話ではありませんが、応援歌はけっこう古い曲が多いのですね、ひみつのアッコちゃん、とかサウスポー、とか。子どもたちはオンタイムでは当然知らないでしょうが、代々受け継がれて歌い継がれているのでしょう。

 画像は書籍、「空き家」が蝕む日本 長嶋修 ポプラ新書。
 良書なので紹介します。

 第1章 日本の不動産、現場からの疑問
 価格査定の驚くべき実態として、不動産業の実態を伝えています。建物は25年で査定額はゼロ、購入時がピークという価格のありかた、取引事例比較法にのっとって、おこなわれる方法の問題点を指摘。アメリカではホームインスペクター(住宅診断士)が建物の診断。金融機関も診断。ローンを組んだ買い手の責任よりも貸し手の責任の方が重いのだという。
 住宅データベースも、売買価格、登記情報、都市計画や固定資産税情報、地盤や地質、浸水履歴などのネガティブ情報も、一元化され完備。リフォームの記録も積極的に。これによってマイホームの価値が維持または上昇する、そのことを期待して。

第2章 「空き家」が増え続けるのはなぜか?
 空き家戸数760万戸、2008年総務省。空き家率13.1%。足立区の老朽家屋等の適正管理に関する条例。日本の住宅政策に欠落する「住宅総量目安」、西欧では多くの国で10年間の「住宅需要」「住宅建設見込み」を推計している。明らかに、日本は住宅の供給過剰。

第3章 日本の住宅はなぜ寿命が短いのか?
第4章 賃貸住宅が貧弱なのはなぜか?
 賃貸住宅後進国日本。「新築持ち家」偏重の住宅政策。先進国で家賃補助がないのは日本くらい。大家さんを困らせる時代遅れの「借地借家法」。

第5章 物件情報はこうして囲い込まれる
第6章 エネルギー問題と住宅政策
第7章 海外シフトする不動産投資

 第6章の、エネルギー問題、のところでは脱原発の方向性についても触れています。なお、第2章の2008年総務省調査数値はこのほど2014年の数値が明らかになり、新聞報道もされました。以下は7/29の日本経済新聞より引用。

 国内の住宅総数に占める空き家の割合が2013年10月時点で過去最高の13.5%になった。総務省が29日、発表した。人口減少が深刻な地方を中心に増え、戸数も最多の820万戸に上った。中古住宅の活用が進まないうえ、空き家を取り壊すと税負担が重くなる制度も空き家が増える原因だ。活用か撤去を促す政策への転換が急務となっている。
 5年に1度実施する住宅・土地統計調査の速報集計を発表した。空き家の数は08年より63万戸増え、全体に占める割合は0.4ポイント高まった。住宅総数も305万戸多い6063万戸となり、過去最多を更新した。 (引用終わり)

 さらに、記事中、以下のくだりは深刻な話で、記憶しておきたい。
 空き家が増えるのは活用も撤去も進まないからだ。国土交通省によると、新築と中古を合わせた住宅流通全体のなかで中古の割合は13%強。9割強の米国や8割を超える英国より低い。日本では「住宅をリフォームして長持ちさせるという意識が希薄だった」(国交省)。中古住宅は価値が低いとされ、不動産業者も積極的に取り扱ってこなかった。

 中古住宅が英米ではそんなに多いのか、と驚きでした。日本の住宅事情を見ると、根本から改めて行く必要性を感じます。もちろん、住宅政策と密接不可分の都市計画も同様です。