ベネッセ

 台風8号と梅雨前線のタッグで日本列島は風水害対策に追われています。厚木市でも、夕方の時点で、深夜から翌朝にかけての災害対策のための体制が組まれました。食料を買い込み、泊まり込む準備に入った職員が多数見かけられました。何事もなく過ぎてくれるとよいのですが。

 さて、ひとこと、ベネッセの大量個人情報流出について。ニュースでは、

 10日の東京株式市場で、前日に顧客情報の大量流出を発表した教育事業大手ベネッセホールディングス株に売り注文が集まり、一時は前日終値比280円(6・4%)安の4080円まで値を下げた。
 ベネッセから流出した顧客情報を利用し、ダイレクトメールを送ったとされるジャストシステム株は、値幅制限の下限(ストップ安)となる150円(15・2%)安の835円に急落した。

(yomiuri online)

 と伝えています。そこで、先日私が全労済共済の寄付講座(早稲田大学商学部)で城南信用金庫の吉原理事長の講義を聞いたことと重ね合わせて感じたことを書きます。

 就職ではすでに有利だろうと思われる、大企業志向の強かろう早大生に向けて資本主義批判(協同組合の価値を述べているのに過ぎないのですが)を展開、でもきわめて原則論なのですが、そのなかで「株式会社」というのは本質的にカネを増やすことのみに目が行くのだ、という点は重要に思えます。このくだり、さすがにたくさん述べますと冗長になるので割愛しますが、ベネッセやジャストシステムの株価下落は資本主義的に見て「健全」な市場の反応、といえます。

 ところが。おそらくですが、今までの例ですと、たいして変わらない、根本的是正がないままであっても株価は回復することがあります。なぜか。それは、投資家が儲かるかどうかが基準だからです。今回がどうなるかを予測するものではありませんが、株価が下がったところで「買い」に転じることを想定する投資家は必ずいるものです。

 このあたりでやめておきますが、吉原理事長がこだわるのは原発がなぜなくならないのか、ということもそのあたりの経済的な原則の問題点に立ち至らないことにあるとみているからではないか、と私は感じました。で、早大生にそのことを語っておきたかったのだ、と。

 個人情報を流すのは誰が考えても問題です。しかし、そのことに善悪の判断が歯止めにならない。それこそ、悪しき資本主義、マネー資本主義などと特徴を冠につけてネーミングされましたが、その本質的な問題があることを物語っているのではないでしょうか。行き過ぎた資本主義、個人情報でさえ売り飛ばされる社会、対抗していくら規制をしても、消費者は安心できない、そのことの原因が資本主義のシステムそのものの中にあるとしたならば。

 大きな命題は避けて通るべきではない、それが私の選択。ちょっとやそっとの改良では社会の立て直しは不可能ではないかという思いは否定できません。