若者の就職

 6月の補正予算で、神奈川県の労働費補助金、緊急雇用創出事業臨時特例基金市町村補助金が3183万9千円、増額補正が提案されました。障害者相談支援事業所サポート事業費(緊急雇用)に1437万5千円が、就労対策事業費、雇用拡大促進事業費(緊急雇用)に1746万4千円が、それぞれ補正されるというもので、すでに先週の委員会審査では可決しています。わたしは国庫支出金の3869万3千円増などによる情報システム最適化事業費、社会保障・税番号制度システム整備事業費4729万4千円の増額、に異議があり総務企画常任委員会で否決すべきものとして補正予算には反対しています。そのほかの反対理由については最終日の討論で触れるつもりです。

 で、雇用拡大、で今回の対象年齢の上限を39歳とした、つまり比較的若年層を対象としたものという特徴、については行政の意識としては一歩前進か、と受け止めます。

 たまたま昨日、早稲田大学商学部でペアレンツデーというのがあったそうで、友人から資料を見せていただき話も伺いました。あいかわらず(来年から就職活動の開始時期が遅くなる対策はあれど)大企業側の大学による選別傾向や、学生側の大企業願望が、いまでも強いことに、そして大学はそのことについて特段、対策を打ち出している気配がないこと、に私は懸念しています。

 大学の求人倍率(2015年3月卒)は、企業全体で1.61倍、ところが300万人未満の従業員規模ですと、4.52倍もあります。学生一人に対して4.52社が入社を求めるという意味です。これが5000人以上規模ですと、0.55倍、となります。

 早稲田大学ですら厳しい大企業への就職(そのことじたいが見直されるのはいつのことになるのだろうか)、いまやあまりに多く存在する大学、からの就職戦線は推して知るべし、なのでしょう。

 1万回駄目で、望みなくなっても、1万1回めは来る。というのは歌としてはいいけれど、じっさい就活で100社からアウト宣告されたら、どんな気持ちになることか。

 先日の都市経済常任委員会でも、いわゆる若者の継続雇用、離職率の高い問題についての議論がありました。すなわち、予算を付けて、成果として若者の雇用につながった、として、その後継続して雇用されているかという問題です。今の社会では残念ながら、予算をいくらつけても、有効に活かされない危険性はかなり高いリスクとして存在しているといえそうです。予算が付いたことの是非については「是」でしょうが、工夫はまだまだ可能性を求めなければなりません。

 社会が知的分野を軽視するようでは、学力向上を叫んだところで空しい。大人社会ははたして知的に生きているのか、というのは私の昨今の命題ですが、たとえば子どもの教育をうんぬんする大人は、学びを尊重する大人、として存在をしているのであろうか。という点。学ぶ中で得られる人間性の深み、など単に偏差値だけの問題ではありません。「ペアレンツデー」の資料でも、採用選考面接時の人事担当者の評価ポイントで、学生の顕在化しているスキル(資格や語学力)、なんてものはたいして高くない(初期面接や最終面接、ともに)のに比して、自社に合うかどうかの価値観、や潜在的な能力(創造力、実行力、発信力など)のほうが圧倒的に関心があるということのようです。問題は、この選考に漏れる圧倒的多数の学生を、社会はどう育成すべきか、あるいは家庭力をどうサポートするか、そうした点にまで踏み込めるのかどうかでしょう。


参考になりそうな、この学部の学生の論文テーマを拾いました。なかなかおもしろそうです。

「授業科目の選択と配分の問題における公平性と誘因両立性について」
「恋人を満足させる効果的な方法:距離と通信が恋愛満足度に与える影響の計量的分析」
「投票力指数への非対称性の導入について」
「若者の投票率と政府による社会保障費支出の関係」
ソーシャルメディアによる誇示行動と満足度の関係:投稿者本人への快楽と正当化に着目して」