昔話

 つい、ふと思い出した話を書きとめておきたくなりました。

 私が小学生の頃、巨人がV9とかの絶頂期で、当然強いものが好きな少年たちのひとりである私も、野球ファンになっていました。当時は、どこのラジオでもいろいろな試合を放送していて、テレビでも場合によっては民放で2社がナイターを放映、なんていうこともあったくらい、国民的スポーツ・野球は娯楽の筆頭だっただろうということを思い出したのでした。

 毎晩、ラジオを聴きながら私はスコアブックにスコアを付けるほど、はまってしまい、防御率の計算等まで念入りにおこなったりして、友人たちとの話題を提供していたものです。巨人の星、はすでに再放送だったかもしれませんが、中学ではセリフを暗記できるほど何度も見ていた記憶があります。内容は今では、タブーだらけでしょうけれど。

 野球もそうですが、おもに私たちはラジオをよく聞いていた、という記憶なんです。友人たちも、ニッポン放送やら文化放送やら、けっこう聞いていたし、音楽を聴くようになるとFMも聞いて録音していたものです。音楽を聴くこと自体何ら問題なさそうですが、それですら、親からは「ながら」の勉強には批判的で小言をもらっていました。そういう時代でした。

 FMの雑誌を買って録音に勤しんでいたのは高校時代、音楽や映画の情報が満載の、出始めたばかりの雑誌「ぴあ」もまた、人気がありました。アナログが主流ですが貴重な豊かさを経験できたという、よかった思い出の核の部分の話です。

 私は、今の時代の中で、失ってきたものが数多くあるけれど、ちょっとまどろっこしいような、遠回りしているかのような、そんな時を大切にすることが許される、人間社会は見直されてもいいのではないかと思っています。少なくとも私がそういうことを大切にして生きていて、その考えをもとにして政治の仕事をしているということは、おそらく変わらぬまま一生を終えていくことになるでしょう。頑固ジジイとなって。