寒露

 寒露、というほどではないにしろ、気温はずいぶん下がって秋らしいさわやかさをようやく感じることができた一日でした。昨日は、地区の運動会、そしてフードバトルは昨日今日と連日開催。昨日の午前中は雨で、残念な出だしでしたが、まずまずの連休だったのではないでしょうか。

 先日終わったばかりの9月議会の報告は、今後の施策展開に活かす意味からも折に触れ報告していきたいと思います。今日はまず、私の請願、陳情に対する賛成討論で触れた、神奈川新聞に9月30日に掲載された葉山岳夫弁護士の(寄稿)記事について、少し補足的に詳しく触れておきます。また、決算審査が特別委員会(9人)方式から各常任委員会ごとに分割付託審査が行われたことにより、委員長報告で要望が述べられたことも補足的に触れておきます。


-内部被ばくから子どもを守ろう

 葉山弁護士の訴えは、完結、平易な文章で書かれており、異論がある方であっても、こうした意見を尊重していただけたらと思います。以下のような文章でした。
 
 9月15日付の本紙に政府がエネルギー・環境会議で「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す新しいエネルギー政策「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめたことが報じられた。
 しかし、30年代に原発稼働をゼロにするということは、それまで原発を稼働することを意味するし、再稼働を認めるということである。40年で廃炉にするということは、40年間稼働させるということであり、使用済み核燃料の再処理停止については、先送りということであった。
 しかも、この戦略の閣議決定は、見送られた。新戦略は、あいまい決着と20日付の本紙で報じられたとおりである。脱原発に反発する経済界、米原子力産業の圧力があったものと思われる。だが、原発ゼロは、待ったなしの課題である。
 日本列島は、地震の活動期に入ったといわれ、南海トラフでの巨大地震も想定されている。日本国民は滅亡の危機にある。すべての原発は、いますぐ停止、廃炉にすべきである。

 と始まります。現政府の姿勢があいまいな点を批判的にとらえられています。

 6千人の原爆被ばく者を診た肥田舜太郎医師は、低線量・内部被ばくの怖さを強く訴え、福島はもとより全国的に現代日本は「一億総被ばく時代」に入ったと述べている。
 カナダのペトカウは、低線量の慢性的な被ばくは、高線量の短時間照射よりも影響が大きいというペトカウ効果を発見、チェルノブイリ事故で実証された。低線量・内部被ばくは、活性酸素を発生させ、細胞膜を破壊し、がんになりやすくなること、免疫システムを阻害し、特に胎児にとって危険であること、「原爆ぶらぶら病」、心筋梗塞などの心臓疾患など、予想もつかない病気を引き起こすことなどが明らかになった。
 原爆ぶらぶら病とは、原爆が落ちて時間がたって現れる低線量被ばくが原因となった晩発性の病気といわれている。肥田医師によれば東日本でもこれから現れることが予想されるという。
 また、ベラルーシの元ゴメリ医科大学学長で病理解剖学者のバンダジェフスキーは、微量のセシウム137の内部被ばくが人、とくに子どもの心臓血管系、腎臓、甲状腺など、胎児に重大な疾患をもたらすことを病理データに基づいて明らかにした。
 低線量・内部被ばくの恐ろしさを正しく認識すること、そして低線量・内部被ばくから子どもを守ることは、急務である。

 というものでした。それぞれの展開は、新聞への一文提供であるがゆえに十分ではないもどかしさも感じられたかもしれませんが、要点はきちんと触れられていると思います。もちろん、弁護士は、科学者ではなく専門外と言えば専門外ですが、であっても、人々を守ろうとする仕事についている以上、この放射能による被害の拡大に黙ってはいられないというのは自然な感情であると思いたい。
 先日の議会で、紹介をさせていただいたのは、そうした姿勢に敬意を表したいがためでもありました。


-決算要望事項

 決算の要望事項は、先日の委員長報告で触れられた各3点ずつ、を後日さらにまとめて市長に提出することとなっています。委員会ごとで出された利点が活かされて、いままでの要望事項が抽象的すぎた点からいくぶん具体的な要望になっている点が、時代の変化に適応していると私は思います。ですので、さらに今後委員長が調整をしてまとめて市長に提出すると、確実に内容は抽象化されますので、理事者には、委員長報告段階で触れられたことをも必ず記憶にとどめていただきたいと思います。

 抽象的、というのは昨年だとたとえば、
■使用料、手数料については、厳しい財政状況のため、受益者負担のさらなる適正化に努められたい。
■財政の健全化については、自主財源が減少する中、財政調整基金の取り崩しや臨時財政対策債、減収補てん債などによって行政水準(財政規模)の確保が続いているが、経常収支比率が96.1%となるなど、財政の硬直化に歯止めがかからないため、中・長期的展望から改善を図られたい。また、財源確保のため、再度、市有財産(土地、建物)の有効活用などについても検討されたい。
■事業の執行に当たっては、市内業者優先に配慮しつつ、市民のニーズを的確にとらえ、費用対効果を数値的に明らかにするとともに、社会及び経済情勢などを一定期間に精査し、次の事業展開、改善に生かされたい。なお、適正と判断した場合であっても、事業期間を設けるよう努められたい。また、全庁的な案件は、部局間の横断的な処理により、迅速化、効率化及び経費節減に取り組まれたい。

 との3項目に集約されていました。28人いる議員(決算委員は9人ですが)の、立場の違いからくる主張の異なりなども考えると、こうした要望が多少どっちつかずになるのはいたしかたなかろう、と言えます。理事者としては、どこをどう突っ込んで解決したらいいかがよくわからない、わかったようでわからない、というふうになりかねません。


 で、今年度ももちろんまだ過渡期的な段階で、折衷的に私には感じますが、具体的になっている部分もあるので、そこを大切にしてほしいと思うのです。
以下、参考に、各常任委員会の要望事項を記しておきます。

 総務企画常任委員会の決算審査における要望事項
■積極的な行財政改革を求める。また、財源確保にあらゆる努力を尽くされたい。特に、普通財産の処分または有効活用を早急に行われたい。
■予算執行において重大な変更が起きた場合は、少なくとも当該年度中に議会に説明する必要があると考えるので、今後、検討されたい。
■市民サービスの向上を図るうえで、業務の円滑な遂行と市民サービスを具現化する観点から、職員の適正な配置に努められ、働きやすい職場環境構築のために、健康管理、特にメンタルな問題が生じないようさらなる対策を講じられたい。

 市民福祉常任委員会の決算審査における要望事項
少子高齢化をはじめとする社会情勢の変化に対応した柔軟な施策が求められることから、限りある財源を有効に活用するとともに、各種保険料等の収納の強化を図るなど、財源の確保に努められたい。
■厳しい財政状況ではあるが、市民サービスの低下を招かぬよう努められたい。なお、事業の運営に当たっては、利用者・対象者の実態を正確に把握し、より一層事業の効果が上がるよう研究・改善されたい。
■各補助金について、検証・見直しを行い、公平・平等な配分になるよう努められたい。

 環境教育常任委員会の決算審査における要望事項
■公の施設については、負担の公平性を確保することから受益者の負担が検討される中で、その決定に当たっては利用者の負担が適正となるよう配慮され、施設の利用が減少することのないようにするとともに、経費節減等に向け、あらゆる角度から事業の検証を行い、さらなる改革に取り組まれたい。
■事業の策定に当たっては、パブリックコメント等により、市民のニーズを的確にとらえ、費用対効果などを十分に考慮されたうえで、事業の執行に当たられたい。
■体育施設、学校施設について、補修や整備等が生じた場合は、迅速に対応されるとともに、児童・生徒にかかる教育費等の予算上の対応については、未来への投資を惜しまぬよう取り組まれたい。

 都市経済常任委員会の決算審査における要望事項
■義務的経費が年々増加する中で、各事業の積算については事業内容を十分に精査・検討し、予算額と決算額において、不用額、差異が生じないよう努められるとともに、自主財源の確保と施策の弾力的な執行に努められたい。
■組織の統廃合を徹底し、計画的で効率的な予算執行に努められたい。
■委託業務を行う際の判断基準、要件などを検証し、適正化に努められたい。