穀物被害

niginigi32012-07-23

 数日前の報道によるものなので、新しい話題ではありませんが、懸念される穀物被害のニュース。アメリカの熱波による干ばつは国土の6割に及ぶと報じられました。日本への影響としてはトウモロコシ、大豆の高騰があります。トウモロコシの輸入に占めるアメリカの割合は90%といいます(大豆で66%)。日本の胃袋が、諸外国、特にアメリカに大きく依存していることはすでによく知られています。食料自給率の向上は相変わらず国政における重要なテーマで(あるはずで)、長期国家戦略との整合性が疑われます。

 というのは、オスプレイの配備(今日陸揚げ)に対する政府の姿勢はアメリカに対してモノは言わないということを示しており、そういうことで国家の安全保障は保たれるのかということです。アメリカにすべてを委ねるような姿勢を見る限り安全保障を真剣に考えているとは思えません。

 国際社会は確かにグローバル化しましたが、穀物被害といっても最も警戒しなければならないのはこうした穀物高騰を見越した投機マネーが流れ込むことによる、貧困層への打撃です。貧困国での飢餓を促進することになるからです。経済は各国で連動するとしても、また食料供給もまた連携をしているとしても、危機管理上は自国での食糧確保は最低限の安全保障政策でしょう。

 生き物は、喰わねば生きていけない。

 であるのに、この喰うことに絡んで自主性を発揮できない日本の忠犬ぶりはどうだろうか。単にオスプレイが配備された地域が安全を脅かされる、という話ではなく、国家戦略の不在、外交の中長期展望の問題です。世界中がいままでにない新たな世界秩序の誕生の必然に気づかされるような国内状況を抱え、政治的な激動を乗り越えようとしているさなかに、没主体的な政治に失望せざるをえません。

 政治主導は見る影もない昨今ですが、官僚が考えていることもこの程度なのだとしたら、日本は本当に史上最悪の危機を迎えていると、私は驚愕の思いでいるのです。

なお、価格高騰という側面ではまだ許容範囲に収まっている、といいます。日本人にとって(価格面でいえば)救いは主食のコメが影響を受けていないことと言えるかもしれません。小麦、はロシアでやはり生産量が2割減少したと伝えられたようですが、これもまた影響に注目をしておきたいところです。いずれにしても、日本の中ではいまもなお放射能汚染対策というリスクを抱えての生産と消費の中に置かれていますので、外国産に頼らざるを得ない面は否めませんが、だからこそ、エネルギー政策についてもこうした食糧確保と関連があるということも、日本は明確に位置付けるべきなのです。

 重苦しい気分のまま、新しい一週間を迎えました。涼しい週末は、暮らすには大変楽だったのですが。