原発再稼動の政治判断

niginigi32012-04-13

 本日夜、首相官邸前に1600名を超える人々が抗議に集まる中、4大臣が協議を続け、結論を出しました。結論は、原発の再稼動をするというものでした。
 もうあらかじめ14日には福井県に枝野経産相が再稼動の地元合意を求めて訪ねることは予定されていたわけで、それにあわせて着々と準備を進めていただけのことだということに過ぎません。そう考えると、これまでの国会での審議が、いかに不足していたかがよくわかります。国権の最高機関の国会は、おそらくたくさんの前例によって支配され自由もないのでしょうが、なぜ、これだけ将来にわたって重要な案件についての集中した議論がなされなかったのか、そうしようということが提案されなかったのか、合意されなかったのかが全く理解できません。原発再稼動については自民党民主党内には各論が存在することはすでに多く知られていて、党内矛盾を露呈したくない事情がそうさせているのでしょう。しかも、原発再稼動に異議を訴える小政党、会派は時間配分や発言権が著しく制限されています。
 国民の重要な関心事である消費税増税原発再稼動については、時間の限りを尽くして、党議拘束をはずし、国民の納得がいくまで議論を見せるべきです。国家の大事のさなかに一部の瑣末な事件にとらわれて党利党略からの大臣問責決議に終始するさまは、あまりに無責任で無自覚だとあきれ憤るしかありません。
 再稼動を歓迎するとした時岡忍おおい町長は、地元の経済を優先しているに過ぎずそのことだけを切り離して批判はできません。しかし、表向き電力不足を公言している政府ですが、むしろ、地元経済対策の要素のほうが大きいのではないかとさえ私は疑っています。電力不足については全く説明が十分でなく、その対策も十分議論されていません。

 それもこれも、福島第一原発の事故の責任を誰一人明確にとっていないということに起因します。再稼動しても、もし何かあっても責任が問われないようにしているから、責任感はおのずと希薄になります。これは間違いありません。

 4大臣。関係閣僚4名は、脱原発依存という方針と再稼動の判断が矛盾しないという立場です。これは、彼らの語る脱原発が、政治的な信念になっていない、信念に基づく思想を形成していないことを物語っています。政権の維持にとって、それこそ「政治判断として」の「脱原発依存」に過ぎないということです。
 原発推進派が喜ぶ「脱原発依存」とはいったいなにか。
 
 今後の日本のエネルギー政策を転換させるために、再生可能エネルギーの比重を高めていこう、ということくらいしか彼らの「脱原発」の体現する考えはないのではないでしょうか。ベストミックス論、です。経済産業省もおそらくはここまでが許容範囲なのでしょう。経団連と官僚が許容しないものは政策化しないということがここでも明らかになっています。

 地方自治地域主権を真剣に考えるならば、こんなに中央集権が強化されるような政策決定システムを容認していいはずがありません。原発依存経済に拘束されている地方自治体を解放させる具体策を対案として提案する、そうした地域の首長が今アクションを起こすことに私は期待をしています。
 
 追記
14日、東京新聞朝刊を見て感動しました。ほとんどのマスコミが無視をした首相官邸前の抗議行動を取り上げています。参考に、記憶にとどめたいので画像をアップしました。