地域医療政策セミナー

niginigi32011-10-24

 全国自治体病院経営都市議会協議会主催の第7回地域医療政策セミナー。例年この時期に開かれ、このところ毎年参加をしています。今年は今までになく参加者が多く、会場いっぱいでした。厚木市議会からも多数参加。先日の市議会議長会主催の青森での研修(議会基本条例などのテーマ)も、ほとんどの議員が参加したと聞きまして、私は不参加でしたが、その変化には興味があります。

 今日の講演はまず秋田県横手市の市立大森病院(二次医療圏に市立病院が2つ、これは合併によるもの)院長・小野剛氏から、地域密着型の病院を目指して、という内容で始まりました。地域のある程度のエリアを「健康の丘」として老健施設特養、介護、デイサービス、グループホーム、保健福祉センターなどと病院を整備。いきとどいた地域包括ケアのありかたを実践していることの報告でした。特徴としては平成9年から「夕暮れ診療」ということで5時から7時の診療を実施、これで夜間救急の負担を軽減することに貢献したといいます。1日平均でこの時間帯に30件ほどの受診があるということでした。合併を経て、人口は10万弱になった横手市厚木市との友好都市を結んでもいます。市立横手病院246床、市立大森病院150床、これは人口に比しては公立病院の役割的には手厚いとも思います。医療の課題である医療スタッフの確保にはおそらく相当苦労をしているとは思いますが、理念がしっかりしていることは強み、やる気のあるスタッフが定着していることだといいのですが。

 さらに続いての講演では「自宅で大往生〜地域に寄り添う医療の形〜」と題して福井県おおい町、名田庄診療所所長の中村伸一氏から自信に満ちた報告がありました。それは、小さな診療所で、地域の絆を大切に、自宅で最期を迎えたいという患者の願いにきちんと応えて診療を行ってきたことへの自負でしょう。小さな自治体ならでは、という意味もあるでしょうが、理念は共有できるもの。3世代、4世代同居が多い、また長寿で有名という福井県の、そうした地域性から学べるものは学びたいとも思います。

 公立病院の経営についてはどこも苦労していることが今回のような企画への参加者が増えていることの原因かもしれません。講演で話された内容はそのまますべての自治体に当てはまるというほど甘くはないですが、患者、高齢者に寄り添おうという姿勢は原点だということはぜひかみしめてもらいたいものです。