所得税法の附則の誇張を放置できない

 消費税の増税を前提とした論議に道を開くために、なんと政権交代以前の麻生自公政権下で再議決を経て成立した所得税法の附則を根拠にした主張が菅第二次内閣の子守役から出されました。そんなものを根拠にするなら政権を返上したまえ、と言われても仕方あるまい。これは背任ではないのでしょうか?
 政権交代以前に成立した法律のあり方を様々に問うて、あの夏の政権交代が実現しました。後期高齢者医療制度がいい例ですし、自立支援法もそうです。ガソリンの暫定税率もそうでした。いろいろな課題が山積しているのに自公政権が国民の声に基づく政治を行わないことに対する不満が鬱積していたのをもう忘れたということなのでしょうか。麻生政権が14兆円以上もの補正を組んで、定額給付金を支給しても景気浮揚効果は大したことはありませんでした。その短期的なカンフルを打つような発想しかなかった彼ら自公政権が成立させた所得税法の附則とは、どんなものであったのでしょう。

 
 附則第104条 政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なくかつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、2010年代(平成22年から平成31年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。
2 前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。
 

 ここまでだけでも、消費税だけを抜き出して増税を前提とした論議を進めることなど、民主党の側から言い出す必然性がないことが分かるでしょう。

 さらに、

 
3 第1項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。
一 個人所得課税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。
 

 とあって、基本的方向性の第一が格差是正所得再分配機能の回復」なのです。自公政権の作ったものとしてはまだましな文言が入っていましたが、具体の論議になることは一切ありませんでした。

 以下、法人税その他の税制についても触れられていたのですが、割愛します。法整備を先にありきとするのは自公政権のもとでこれを推進していたもののセリフです。象徴的なのは与謝野氏、ということでしょう。妄言「歴史への反逆」という言葉は自らに向けた言葉としか思えません。愚かなことよ。

 ちょうどこのころ、2009年5月29日、厚木市議会では地方税法改正に絡む臨時議会があり、若干思い出しました(当時のブログ)。