「法改正」では解決しない

 障害者総合福祉法(仮称)の早期制定について、ご意見をいただきました。いただいたご意見の要旨は以下のようでした。

 
 平成18年から施行された障害者自立支援法は、スタート直後から、応益負担という仕組みに対し、負担軽減を求める声が全国的に上がるなど、未整備な制度でした。障害程度区分による支給量決定や財政状況による自治体間の格差により、生活に必要なサービスが利用できないなどです。
 同じ年の12月、国連で障害者権利条約が採択されました。既に94カ国が批准を終えていますが、日本は、国内法が未整備のため、まだ批准できていません。
 これらの問題解決のために、昨年12月、内閣府に、障がい者制度改革推進本部が設置され、障害者自立支援法にかわる制度として、「障害者総合福祉法(仮称)」の制定について、障害者基本法の改正、障害者差別禁止法(仮称)の制定とあわせて検討され、議論されています。
 また、先の臨時国会で、障害者自立支援法改正案(障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、障害保健福祉施策を見直すまでの間において、障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案)が可決されました。
 しかしながら、障害の種類や程度、家族の状況、経済力、サービスを利用する能力や居住する自治体に関わらず、「権利としての地域生活」が保障されるためには、障害者自立支援法改正にとどまることなく、それにかわる「障害者総合福祉法(仮称)」の議論を加速させ、着実に立法化する必要があります。
 であるのにもかかわらず、参議院厚生労働委員会では自立支援法の改正でこの方向を捻じ曲げようとしています。先日はこれに対して参議院議員会館前に300人の障害者が集い、抗議の声をあげました。
 せっかく新しい流れを作りかけてきたところなのに、残念でなりません。


 私は9月議会で、これに関連する問題を取り上げましたが、きちんと受け止めなければならない問題だと思います。
 結局、3日の参議院本会議で採決されましたが、今日、日弁連訴訟団が「障害者制度改革と、平成25年8月までに法律を廃止するとした基本合意を踏みにじるものだ」として声明を発表したようです。私も、同じ立場です。世の中に蔓延している閉そく感、よどんだ空気、の中できちんとした正論を述べることは勇気がいることでもあります。その勇気を少しだしていくことで結びついていく人の輪を大切にしていきたいものです。