前進

 自治基本条例の審査に直接かかわれたことは希望通りでよかったのですが、提案即可決、というようにすんなりいくことが市民にとって、そしてこの条例にとって本当に良いことなのでしょうか。採決は4対2の賛成多数でかろうじて継続審査になって今後の修正の可能性を残しましたが、そのことがかりに高く評価されないようであれば、自治基本条例に定められるであろう議会の役割の自己否定であって、矛盾です。

 条例は市民全体の利益にかなうものであって、市長のためにあるのでも、当然市長選が直前であろうとなかろうとなんら関係のない話でなければなりません。そういうことを感じさせない、論議に費やすことができる時間的かつ精神的なゆとりが保証されてしかるべきです。自治基本条例の案はすでに上程され、審議も始まったのですから、内容を市民に広く知らしめるチャンスも大きく広がったのです。どうしても理念条例ですから論議も空中戦になりがちなので、現実の市民生活に直結した活動を通じて実際の自治を高めることの中で基本条例の意義を実践化することこそ肝要でしょう。


 修正については、私は私の希望、意見を相当封印することにやぶさかではありません。議員の個々の思いをすべて満足に満たさなければならないなどということは非現実的ですから。原案には、33人の市民会議の思いが込められているということは大前提ですが、本会議でも私は強調しました通り、市民会議の皆さんの重責は十二分にすでに果たされていて、本条例案は市長の責任において提出されているので、舞台は新たな次元に移っているということです。なんらこれまでの成果を否定するものではありません。

 今日の審査を経て、すでに自治基本条例は成立に向けて大いに中身の濃いものになりつつあります。その前進に、幾分でも寄与できたものと私は納得しています。