5月末

 鳩山首相に対しての批判は沖縄の人たちの「5月末にこだわらないで、頑張ってアメリカと交渉してほしい」というものに共感する世論と、「いたずらに沖縄県民をあおった」「日米の信頼を損ねた」的な論調に共感する世論とについては、分けてもらいたい。内閣への不信、という意味では同じようにくくれるけれど、内容は別物でしょう。後者の言い分は、マスコミに多く見られるもので、「これまでつくってきた現行案の実現を困難にした」という考えが原点にあるもの。普天間の固定化につながる、と扇動しているのも気がかりです。なかには、これまでの日米交渉に携わった官僚を排除した、ことが問題というような論調にも出会いました。

 そうなんでしょうか。

 枕詞に、最近の朝鮮半島情勢を持ち出すのもどうなのか。それを持ち出さないと言い訳ができないくらい、根拠が薄弱な「抑止力」に依拠した「日米合意」や「政府方針」については、内容的な議論があまりに不十分だという点は内閣が負わなければならない責任の範囲だと思えます。

 昨日(5月28日)の日経新聞で韓国の世論調査で「北朝鮮の攻撃」疑問の声も、という記事があり、それには以下のように書かれていました。 
 
 金正日総書記の責任を糾弾しよう」。ソウル市中心部では27日、保守団体が強硬路線への賛同を訴える集会を開いた。だが、1987年の大韓航空機爆破事件など北朝鮮による過去のテロ行為や軍事衝突があったときに比べると、国民感情は冷静だという分析もある。
 韓国はいま統一地方選のまっただ中。李政権は北朝鮮の脅威と韓国政府の断固とした対応を訴えて選挙戦を制したいという思惑も読み取れることが背景にある。2008年まで北朝鮮に融和的な政権が10年続いたこともあり、若年層からは南北緊張の現実感を持てないという声も聞かれる。
 こうした国民の姿を投影するかのように、韓国軍と民間専門家による哨戒艦沈没の調査結果にも疑問の声がくすぶる。政府は各界の重鎮や有識者、マスコミ幹部などへの説明を重ね、理解を求めるのに躍起だが、北朝鮮への制裁を発表した24日に韓国日報が実施した世論調査では、合同調査団の報告を「信頼していない」とした回答が計24.0%にのぼった。(以下略)

 この記事の主眼は、韓国で市場の動揺を抑える政府の動きを伝えることにあったようでもありましたが、韓国国内にも冷静な世論があることを知ることは大切といえます。

 繰り返しますが、沖縄県民にいくら言葉でお詫びをしたところで何の意味もありませんし、国民を何とか納得させたいがために朝鮮半島情勢を語るのは私は違うと思う、きちんと論理的に語る必要があるはずです。

 国民の不満はいまだ鬱積したままで放置されています。こういう形での解決が新しい政権の仕事であったとなってしまったことは政権交代を実現するために活動してきた自分にとっても悔しい限りですが、失望している暇はなし、それこそ「半歩でも」前に進まないと。今の首相にはどこが前なのかも見えてないように見えますが。

 
 しかし、雑談的につぶやかせてもらうなら、連立を組む党首自身が入閣、閣僚になるっていうのはこういう場合に選択肢を失うということは教訓か? 消費者行政、少子化対策で何か失点があったわけでもなく。官房長官兼務、っていうのもこうなった事態の責任の一端は誰?という疑問はありやなしや。