基地縮小・撤去で国論統一を

niginigi32010-04-19

 写真の記事は昨年12月29日付の神奈川新聞のもので、「米軍施設、受け入れ可能ゼロ、沖縄負担減必要15道県」という見出しの記事です。記事は、「沖縄の負担軽減を『必要』としたのは北海道、神奈川、佐賀などで、多くは米軍の基地や施設があるか、訓練が行われている道県だった」「青森などは具体的な軽減策として『整理縮小』を挙げた」などと伝えています。普天間基地の移転を巡る問題は昨年より焦点化していて、このように「県外」方針はどちらにせよ難航することは予想されたはずです。そういう意味では5月末までという期限は無謀に思えますが、事態は責任の追及だけでは何も変わらず、「ではどうするのか」を国民的な議論にして結論を導く以外にはないのではないでしょうか。

 かつてのような「原案がベスト」も、この数カ月の世論の動きをみれば明らかなように、沖縄の負担軽減になる見通しがない以上は通用する案にはなりえません。日米関係の悪化を自民党やマスコミなどがこぞってあおっているようですが、米軍基地を提供している側の国が、提供している国民の利益を考えて交渉するのは当然で、それができない「対等」とはいったい何か。定義をしてもらいたい。

 「沖縄からの撤退は米軍の協力が得られなくなる」「抑止力がなくなる」「(アメリカを守る責任を担うために)集団的自衛権を認めるべき」などという論調に対しても議論を避けずに、本来は国会等を通じて新しい日米関係の在り方を、問題点を洗い出すことを含めてやるのが与野党の責任だったはずではないのでしょうか。要するに責任の押し付け合いはそれこそ「責任逃れ」にしかなりません。沖縄への基地集中と負担の集中は、国民全体で解決していくべき課題です。沖縄への負担集中は、日米問題でもあり国内問題でもあります。国民も、今のままの沖縄の状態がいいとは誰も思ってはいないのではないでしょうか。

 アメリカ・オバマ政権は戦略核の削減でブッシュ時代から大きな転換を図りました。さらに戦術核などの全体的な削減に結び付け、軍事的緊張を緩和する意味からしてもアジア地域の米軍の、今後の位置づけは論議に値するはずです。

 先日テレビ報道で、三沢基地の特集だったでしょうか、基地があることで米兵のための住居を提供している地主が家賃20万だかを取っているという話で「基地さまさまよ」と語っているシーンが流されました。徳之島問題でも受け入れが経済振興になる論でごく少数の賛成がある、という報道もありました。このようにその場しのぎの「県外」方針は、将来的な「基地縮小・撤去」方針とセットでない限り、いびつな基地依存、従属的な経済を作り出す構造になるのです。それは、国民の利益にはならないということだけははっきりしています。