厚木市内刑法犯認知件数

 施政方針で平成13年から比べると刑法犯認知件数が3454件、48%も減少した、と触れられていました。今日、その内容の資料が届きましたが、平成13年、2001年の7163件をピークに、
 2002年(平成14年)7072件 (対前年91件の減)
 2003年(平成15年)6340件 (732件の減)
 2004年(平成16年)6246件 (94件減)
 2005年(平成17年)5165件 (1081件減)
 2006年(平成18年)4274件 (891件減)
 2007年(平成19年)3773件 (501件減)
 2008年(平成20年)4224件 (対前年451件の増加)
 2009年(平成21年)3709件 (515件減)
という具合に、減少しています。
 が、実を言えば上記のように、数字上でいえば市長就任時にはすでに相当減少していたということになっているということが資料によって示されました。こうなりますと、施政方針で言われた「番屋」や「市民協働」の成果の指標としては説得力に欠けるものです。前市長時代にすでに「減少」は進んでいたのですから。無理やり、こじつけようと意図的にしたのだとしたらおそまつではないでしょうか?
 厚木市の場合は、近隣自治体の中では昼夜間人口比が高く、つまり昼間に厚木市にいる人が多い、そうした特性からどうしても雑然としてしまう要素は致し方ない側面もあるはずです。にぎわいがあるというのはいい評価かもしれませんが、駅周辺は深夜(早朝?)まで騒がしい、都会のような雰囲気を作っているので落ち着かないというところは否定できません。市役所周辺ですら風俗店がある混在した状況にはみんなそれに慣れてしまうほど、「都会化」したといえるのです。
 犯罪増加は社会の反映でもあるでしょうから一概に末端自治体の問題とばかりは言えませんが、かりに厚木市の問題としていえば、イベントによる交流人口重視の戦略よりも、コミュニティ交通など流入交通の渋滞に影響されない地域住民のための交通網整備など夜間人口のための施策を第一においた方がいいのではないか(今回の一般質問の、人口問題を取り上げる背景にはこのあたりの認識もあります)、そういう思いがあります。
 
 北口に交番を移設する、という交渉に市長自ら神奈川県に7回も訪れた、というのも自慢話のつもりかどうかは知りませんが、理解に苦しみます。ひとつには、そのことのために市長がそんなに動かなければならない、という重点だったのかという点。さらに、交渉の手法としてトップ交渉をそんなに積まなければならないのかという点。そして、神奈川県も、自治体の首長を何回も呼ぶようなことを何でやらせるのかという点。

 なぜ交番がそんなに重点なのかという基本的な疑問がまずありますが、(体感治安、というだけあって本当の安心を作るのではなく、見た目の、イメージ先行の「安心」でしかない)警察という公権力の存在に依存した安心など本当の自治でも何でもないと私は思いますし、まあそのへんは置いておいたとしても、声高に成果を強調するほどのことではないはずです。

 人口問題は、国政も影響しています。当面、子どもを産む環境がどんなに向上したとしても、いっぺんに人口増加状態にはなりにくいでしょう。第一には、人口が減少したとしても支えられるような社会にしていかなければならないという覚悟をどう持つか。そしてそのうえで、命を大切にする人間重視の社会づくりをどう進めるか。その結果として、子どもを社会全体で育てていける安心を提供できて初めて人口の一定段階での維持が可能になるのではないでしょうか。ヨーロッパ社会など、国家単位ではそんなに人口が多い国はありませんし、社会保障が充実している国々はかえって人口が少ない国ですから。

 とにかく。
 成果を強調するのならば検証をして、みんなと共有できる根拠があるものにした方がよろしいでしょう。