つぶやき

 つぶやく、というのは誰かに聞いてもらいたい行為なのかどうか、単なるつぶやきが140字になることはそうそうあるとは思いませんが、こうして活字にするとなると140字以内にまとめるのはなかなか難しいようです。ネットショッピングやオークションの際のコメント程度であればその程度でもいいでしょうが、私はつぶやきなんだかぼやきなんだか、言いたいことは山ほどあって、なかなか短くはまとまらない。ここに書き込めばそれは一義的には自己の認識の整理に役立つという意味合いがあり、不特定の目にさらされることによって安易なことは言えないという判断の訓練にもなるということでもあります。印刷物よりも訂正がしやすいので文章の校正が多少ゆるくなる一方で速報性に優れ、幾分感情が入ることも許される(と思うのですが)ため印刷物より読みやすい面があるのではないでしょうか。


 先日、渡部昇一版「日本の歴史」戦後篇なる第一回配巻の広告を見ましたが、推薦している顔ぶれの中の石原慎太郎櫻井よしこ小林よしのり、あたりは傾向の一致があるのでそういうものと思ったのですが、葛西敬之JR東海会長が名を連ねていたのでインターネットで少し見てみると、なるほど同じ系列かと初めて認識をしたのでした。まだまだ私は知らないことがいっぱいあるのです。JR東海の会長がもつ思想的傾向について、あらためて認識をしたということです。
 「日米同盟の危機」を叫び沖縄に基地があるのは安全保障上必要だという人に対しては感情的には「だったらあなたはそこで暮らしてください」と言いたくもなりますが、冷静に考えてもアメリカも日本も経済的には内需拡大といっても道は大変厳しく、中国市場を活用しないことには立ち行かないことは明らかで、外交路線の転換は理にかなっているはずです。しかし、「危機」の喧伝の行間には時折、中国蔑視、アジア蔑視というか、敵視、つまり経済的には「利用」するだけ利用はするが、本当の信頼関係をつくるためという心がまったくないことを感じるのです。

 民主党の、あるいは小沢氏の進める東アジア共同体構想や昨年の中国訪問、中国副主席を天皇に会わせるなどの政治方向に対する猛烈な反発が背景にあるように思えます。
 「関係者によると」という書き方のうさんくささは別に最近に始まったものではありませんで、以前からあるものです。沖縄の基地固定化をいかにもアメリカ全土が望んでいるかのように、日本の新聞を読むと思ってしまいがちですが、注意深く読み解く必要があります。その発言は誰のものなのか、と。
 オバマ米大統領も、医療保険改革で大変苦労しています。私はアメリカで医療保険改革が進むことはとてもよいことだと思い注目していますが、共和党の攻勢も強いようで憂慮しています。一足飛びに、新しい日米関係にたどり着ければいいのですが、両国とも政権交代後の経済の建て直しという内政の重要課題を抱えつつ、中国との関係を改善していく必要に迫られているということのなかで、どう中国と向き合うのかが路線の違いになっているように思えてなりません。
 日米ともに、失業率その他、経済的な指標の改善は政策の幅もでき、軍事的な緊張を維持する必要性を軽減させるはずで、沖縄の海兵隊の撤退やアジアにおける基地の縮小に根拠を与えるはずです。ハイチでの大地震の救済などに、人的物的支援を送るなどの活動は国際的に充実する必要があることが明らかな中で、つまり貧困を背景にした被災に対する「防衛」が脆弱な世界を援助しなければならない中で、莫大な軍事力を持つアメリカが沖縄拠点にこだわる意味を縮小させてやらなければならないはずです。
アジアは経済成長率が伸びている国が多くある一方で、ビルマ(ミャンマー)、タイ、インドネシア、など政治的に不安定な要素を抱えている国もあります。そうした意味でもアジアの今後は、かつての「日米同盟」の虚栄に依拠した外交に委ねるわけにはいかない、日本のこれまでの外交路線の転換はどうしても必要でしょう。

 長いつぶやきになりました。
 北里東病院にて、治療を受けながら考えていたことでした。考えは日々新しくなります。こうして書き記すことで、また改めなければならない点も、生まれてくるものです。コミュニケーションの基本は対面。つぶやきに流れると「軽口」になってしまいそうで、そこは自戒をしておきましょう。