投資話

 忙しい仕事のさなかに自宅からの転送電話が携帯にかかってきました。「市議会議員の先生のお宅ですか?」ろくな電話ではない。

 「ただいまご自宅の付近を回っていますのでよかったらパンフレットだけでもと」言うので、忙しいと断ると、「夜ならばいらっしゃいますか」ときた。本当に忙しいのに何の会社かとそれすらも述べられていないことに腹も立ちつつ尋ねましたら、「金などの投資をお勧めしております」

 こうなるとつい説教癖が出て、「税金で食っているものに投資を進めるのはおかしくないのか。私財をため込めと、税金で私腹を肥やせといっているのか。公金で食っているものに投機経済への加担を勧めるのは私の主義に反する」とかなんとか、相手はただもはやしまったへんなあいてにつかまった、とおそらくは早くおしまいにしたい様子。

 忙しいのは当たり前、政治に携わっているものがこの選挙の時期に、金を買おうかどうしようかなどということを考えていていいはずがないでしょう。

 私は、今は激動期、自分を活かせるところであればどこへでも応援に行こうと思っています。仕事は多岐に渡るし準公務もありますが、この際、天下国家を優先させたい。政治には金がかかるから多くの方々に多方面で工面をしていただいたりしているというのに、「金を買え」とは何事か。たしかに金やプラチナなど貴金属の価格は今後上昇するでしょうし、一次産品はいまや投機の対象として最優先候補でもあるようですから、金持ちにはいいのかもしれません。でも、そのカネを国民のために(この場合、国益と言っても構わない)にまわしてくれやしませんかというのが私の本心です。

 日本経団連企業献金をするために政党に通信簿をつけていて、AからEまでの5段階で評価しているといいます。かつて民主党にはAがついたことはないらしいです。利害の対立する部分ですからやむをえなくもありますが、地域に根ざすべき事業者、経営者(団体では商工会議所など)はもっと日本の長期的展望をもって政治に投資してもよさそうなものではないでしょうか。

 自民党が多数を取ったらまたしばらくは「ねじれ国会」で決まらないことだらけになり、3分の2を使わなければならないという無理やりの政治が続くことになるので、どう考えても先行き閉塞感は否めません。後期高齢者医療制度の問題が騒がれたのはすでに昨年の春です。一年以上ねじれっぱなしの国政の中で、年金問題など、ブレーキがかかり続けているではないですか。経済界も、もう少し現実的に大人になるべきでしょう。

 私は多方面に尊敬する人がいますが、革命家としては高杉晋作を第一にしています。私心なく命を投じる当時の志士はみなそう生きていましたが、吉田松陰亡き後、やはり高杉の政策力や決断力、は惚れる。一人でもやる。というあたりはもはやロマンですが、育ちのよさはあるにしても常に大衆の立場に立っていたという点は間違いなく維新の牽引力になったはずです。彼を支えるために、多くの商人が「カンパ」をしたことを思えば、投資家は本来国家の将来性をよく分析するものだと思います。

 官僚が駆け込みで天下っているという事態こそが如実に現在の情勢を物語っているといえましょう。