総選挙へ

 民主党圧勝の都議選から、麻生首相の解散宣言へと、情勢は動きました。都議選では、私の応援した伊沢けい子氏は前回よりも6000票も増やしたものの惜敗、民主党への期待の流れの中で善戦したものの残念ながら届きませんでした。
 任期満了直前の解散にどれだけの意味があるのかわかりません。麻生首相は、「自分が決める」というこだわりだけは守りたかったのでしょうか。すでに(都議選終盤ころ)新聞で報じられていましたが、外国人投資家から民主党についての問い合わせが増えているといいます。政権交代を見据えて、投資の方向を判断し始めているということが、さらに後戻りできない状態へと誘導しているようにも見えます。ちょうどひと月前に、株価が1万円に戻り、投資家に動きが見えてきたといわれていましたが、そのときから言われていたとおり、内需回復など実体経済の支えがないままの株価上昇は脆いということが昨今の各経済指標は物語っています。きっと市場は「様子見」なんでしょう。
 実体経済は悪化の一方で、企業の一部指標の立ち直りはこの間切れるものを切ってきたことによるものでしかありませんし、雇用情勢は失業率や有効求人倍率など最悪の数値ですし、所得の激減で「給付金効果」などは吹っ飛んでしまっています。
 ところで、先日の新聞記事で「ロシアの最大手アルミ精錬会社で経営難に陥っているUCルサールは5月下旬に突然、7〜9月期の日本向け輸出を見合わせた。その後、50万〜80万トンのアルミ地金を欧州の大手金融機関に売却したとの情報が伝わってきた」というものがありました。明らかな投機的取引の拡大です。こうした「公共」の概念とは無縁の私的利潤追求は違法でない限りは規制を受けませんが、このままでは富の偏在によってさらに世界経済が停滞し、内需に投資意欲が向かないようになります。このようなシステムは本来規制すべきでしょう。ある一定以上の取引によって得られた利益を還元する方法を確立していくことが必要です。


 さて、今日から7月臨時議会が始まりました。国の大型補正によって全国各地で同じような議会が開かれていることでしょう。本会議初日、私は補正予算について
1. 繰越金を当初に20億円もつぎ込んで、さらに今回1億円、余裕がまったくなくなるという運営は大丈夫か。財政調整基金の残高はいくらか。余裕がないと秋以降の不測の事態に対応できなくなることはないか。
2. 国のほうは税収よりも借金のほうが多くなるという。景気が上向いているとはいえ雇用情勢や所得の回復はなされていないから、財政出動はまだ必要だとは思われる。しかし、地方自治体は国とは違うから独自に財政の判断をもつ必要があるのではないか。借金をいたずらに重ねるわけにはいくまい。そうした判断はどこでしているか。
3. あつぎ元気商品券はそもそも全員にはいきわたらない。第1回は何人にわたったか、今回はどのくらいを想定しているか。
 を質問しました。「商品券」は前回が6500人、今回は12000人から14000人を想定していると答えがありました。財政問題については、繰越金はとっておかずなるべく当初から使っていこうというようにした(このことは多分問題はないだろう)、国からの財源だけで補正を組むと、入札差金などが生じたときに対応が取れなくなる、という(これ自体は技術的な必要性で本質ではないでしょうが)答えもありました。景気がよくないということは同じなので、おそらくはどこの課でもやりたいことはあるでしょう、増やしたい予算もあるでしょう。
 しかし、国は、今使ってくださいといっているものの財源を、いつごろ、誰に、負担を求めるのかを明らかにしていません。手放しでありがたがることは危険なのです。この急場をしのぐために、緊急対策として救うべきところはたくさんあります。そこを外してはなりません。
 今日は本会議後、総務企画常任委員会、市民福祉常任委員会が開かれました。
 明日は、環境教育常任委員会後、私の出番の都市経済常任委員会が開かれます。本当は前6月議会で私が病気で欠席して、委員会の出番は8月に常任委員の任期が切れるため終わりだったはずなのですが、臨時議会のおかげでもう一度委員会で質疑できる機会が得られました。
 今日の本会議でも、釘丸議員や佐藤議員から商品券についての質疑がありましたが、まだ大枠しか決まってないようなニュアンスの答弁でした。「?決まってないまま提案?」と若干首を傾げましたが、続きは明日ということで。

  • 学校給食の異物混入について

 先週電話でやり取りをしたのち説明を求めたところ、今朝本会議前に北部給食センター所長が控室に見えて、説明を受けました。7月7日の中学校給食の「ゆでめん」にかける「ごまみそソース」への鉄片混入の件です。対応が遅れたため主食がなくなって6500人の生徒に迷惑をかけた問題です。
説明によると、「午前9時ごろ、臨時職員(調理員)が下処理室で肉をほぐし作業中に異物が混入していることを発見し、直ちに正規調理員に報告した。正規調理員は、栄養士に報告するよう臨時職員に指示した。正規調理員は、調理室へ移動した。」ということで、栄養士が異物を発見した臨時職員から報告を受けたのが午前10時55分ごろだといいます。その前の10時22分には所長が検食をしているといいます。
 説明を受けて明らかになりましたが、私の直感的最大の問題は「責任回避傾向」でした。現場というものはみんな責任の範囲が決まっていてそれぞれがぎりぎりで忙しい。そこに、想定外のアクシデントが発生する。誰もその緊急事態に対応する余裕がない。あるいは、問題が発生した後、建設的に、再発防止のための対応をして改善したフシがない。というように感じました。
 金属探知機にもかからない鉄片を発見した臨時職員のファインプレーが、結果としてはチームプレーとしては活かされず失点となってしまったような話で残念です。

  • 私学助成

 6月議会で私が欠席したため十分調べることができなかった「私学助成」の陳情の審査に絡んで、担当職員に内容を聞いたときに担当も神奈川県の事情をよく承知していない様子だったので調べることを依頼しました。すなわち、神奈川県が今年度大幅に私学助成を減額した件です。今日の議会終了後に、担当職員と部長が説明にこられました。
 かいつまんで報告しますと、6億2158万円もの減額がありましたがその内訳は高校が3億9967万円の減(最大)、小中学校などが1億2939万円減、幼稚園が4951万円の減、専修・各種学校が1億4901万円の減、特別支援学校が698万円の減、となっているようです。
 主なものはやはり高校の約4億円に及ぶ減額(197億9231万円から193億9264万円)ですが、私学への補助額の算定には驚きました。「標準的運営方式」という方式ですが、これはおそらく知らない人が多いのではないでしょうか。
 減額の主な根拠はなんと、神奈川県の教職員の給与単価が下がっていることによるのだといいます。何で教員の給与が低いことが補助に影響するのか、まったくもって不可解ですが、主にそのことによるといいます。不景気によって私立学校への進学率が下がった(対前年比1059人の減)ことも根拠にはなっているといいますが、そもそもがこの計算方式は生徒数の変動に影響されないように作られたものらしく、生徒数の変動に影響受ける「単位方式」という算出をしているところよりも変動が少ないという。
 ともかく、今日、すでにあの陳情は賛成多数で採択されているのでいいのではありますが、私学助成を充実させるというためには神奈川県におけるこの算定方式が妥当なのかどうかを問わなければならないことがわかりました。
 ちなみに、今年度予算で見たとき、私学助成の中で小学校や中学校への助成は20%弱でしたから、そこへの助成に疑問を持たれる方のご意見もわかりますが、主には幼稚園と高校への助成ですから減額はやはり避けるべきであろうと言えるでしょう。