学校給食への異物混入

 北部学校給食センターで出された給食から異物混入の疑いが発覚し、主食が食べられないという事態が生まれました。判断の誤りによって、多くの中学生の昼食が主食なしということになってしまったのでした。代わりのパンが届いたのが夕方ということで、生徒はただ後からパンだけを食べました。

 安心安全とか、セーフコミュニティとか言っていますが、安心安全を優先した対応をしているとはとても思えません。以前から指摘しているように、学校での「健康観察」という名のもとに行われている毎朝体温チェックも、形式主義の官僚的発想の象徴。そもそも学校は、うがいや手洗いをしやすい環境をどれだけ作っているのかを考えているのでしょうか?インフルエンザウイルスがこのような高温多湿の環境でも拡大しているのですから、「感染しにくくする予防」は日常生活のあり方からしか考えられませんから。相変わらず隔離の発想しかない当局の姿勢は本当の意味での危機管理能力の欠如と思われます。

 ところで、子どもたちを取り巻く環境といえば、先日報道された「高校生奨学金、不採用401人、過去最多か」「景気悪化、私立の申請殺到」の見出しの記事、驚きました。記事では「県教委は奨学金の申請数が増えることを見込み、09年度に04年度比で3倍近い約14億円の予算を確保したが追いつかず、緊急性に応じて選別せざるを得ないという」などとありました。これは問題でしょう。また、高校生の有志が全国対象でアンケートをとったところ、「学費で迷惑をかけている」という意識の生徒が多いことも伝えられましたが、最近経済的理由での退学が増えているという現実の深刻な問題は最優先課題ではないのでしょうか?

 先日例の「携帯電話を持たせない」ことで注目された石川県の条例に目を通してみました。「いしかわ子ども総合条例」という99条からなるなかなかのものでした。
 私が注目したいくつかの項目は、以下のとおりです。
 第12条にある「乳幼児の出生および発達の保障」を明確に定義していること。「妊産婦および乳幼児を養育する保護者に対して、安心して子どもを生み、育てることができる環境を整備するよう努めるものとする」という一文が入っています。
 関連するものでは第20条「妊産婦および子どもの医療体制の整備」、第22条「子どもの疾病の早期発見等のための体制の整備」、第23条「子どもの障害等に対する支援」、第24条「子どもの事故予防のための啓発活動の推進」、第25条「不妊等に関する相談体制の整備等」が条文としてまとめてあるのが特徴か。第29条の「幼稚園、保育所および認定子ども園と小学校との連携」という条文があるのも工夫に思えます。
 また第17条には食育の推進、が定義された上、第5章において第76条と第77条に具体的な条文がありました。「子ども食育応援団の認定」が工夫でしょうか。
 若者の自立に向けた支援では第64条の「就労形態が不安定な若者等に対する就労支援」で施策推進を明記して第66条で「身元保証」、第67条で「授業料の減免」が条文化されています。
 県民育児の日を毎月19日とする(第69条)規定や、ワークライフバランス企業の登録や表彰(第74条)などは取り組みとしては面白いのでは。第6章に、子どもの権利擁護が謳われ、とくに子ども虐待対策協力病院(第79条)で知事が関与できる規定があるのはいいと思います。
 実際がどのようかはおそらく別の問題があろうと思いますが、県の責務という意味では姿勢としては理解できます。
 インターネット利用に際してのフィルタリングについての条文があるのも、事業者への努力義務にとどまるとはいえ規定は当然。有害図書については罰則があるのだったらネットのほうも、とも思いますが。

 厚木市では今年度から「子ども未来部」という新しい機構をスタートさせました。連日のように伝えられる児童生徒が通学帰宅中に危ない目に会うという「事案」、携帯に報告がありますが、その後の対応や対策は一向に配信されません。

 工夫が感じられないのが残念でなりません。