大型補正

 今日は6月議会の最終日でした。久しぶりの本会議、体調を気遣われつつ開会を迎えました。病みあがりながら早速反対討論と賛成討論をいつものようにやると、どうも「もう少し休んでればいいのに」というようなニュアンスの視線もあり。
 例によって最終日は全員協議会や市立病院整備の特別委員会(傍聴)など、あわただしい一日でした。そして、今日のトップ・ニュースはやはり来月の臨時会で提案される大型補正の中身が明らかにされたことでしょう。(本会議の報告は後述)
今日は、一般会計補正予算について概要が配られました。配布された資料の主な点を拾い出してみました。

補正予算総額は2,291,863千円。
財源内訳は国庫支出金587,490千円(うち地域活性化・経済危機対策臨時交付金が243,000千円)、県支出金が3,349千円、繰越金101,024千円、諸収入1,600,000千円(あつぎ元気商品券販売収入600,000千円、預託金元金収入1,000,000千円)。
歳出の主な内容は
1、中小企業支援対策 1,038,744千円
(1) 中小企業への事業資金などの拡充 1,000,000千円
(2) (新規)中小企業緊急雇用維持に対しての支援 20,000千円
(3) 空き店舗対策 18,744千円
2、景気浮揚のための受注機会および消費拡大対策 793,367千円
(1) あつぎ元気商品券(第2回)の発行 692,000千円
(2) 市内中小企業に対しての受注の配慮 101,067千円
     (市民生活に関連した維持補修事業や地上デジタル化への対応を実施し、市内企業の幅広い受注機会に配慮する。)
3、子育て支援対策 266,933千円
(1) 子育て応援特別手当の支給(国100%補助) 248,283千円
(2) 民間保育所など及び私立幼稚園の子育て環境充実のための支援 11,144千円
(3) 市立保育所の保育環境の充実 499千円
(4) 留守家庭児童クラブの環境の充実 7,067千円
4、市民生活の安心安全対策 78,658千円
(1) 防犯等の増設および照度アップの推進 7,600千円
(2) 防犯カメラの設置 19,840千円
(3) 消費生活センターの機能強化(県100%補助) 3,349千円
(4) (新規)集中豪雨に対する対策 15,000千円
(5) 女性特有のがん検診に対する支援(国100%補助) 32,869千円
5、学校教育環境の整備 131,380千円
(1) 小中学校の地上デジタルテレビなどの整備(国50%補助) 114,580千円
(2) 小中学校図書室の充実 16,800千円

というものでした。7月14日が臨時会初日、総務企画、市民福祉の常任委員会が開かれ、翌15日には環境教育、都市経済の常任委員会が開かれます。採決は最終日の21日、という日程が決まっています。この時期に20億円を超える補正ですから、委員会でしっかりと議論するのは当然のことです。

 ネーミングライツ、についても今日の全員協議会で報告がありました。ネーミングライツパートナーに「学校法人幾徳学園 神奈川工科大学」に決まりました。施設の通称は「神奈川工科大学厚木市子ども科学館」、契約金額は年額90万円(3年で270万円)ということになったという報告でした。
 議論については別の場でと考えていますが、しかしどうしても90万円で身売りしたかのような錯覚を覚えます。90万円とはずいぶん安いのではないか? 相場がわからないけれども、そんなものなんでしょうか? 

 今議会は初日と最終日の本会議だけ出席、というまるでキセルのような状態。よもやの入院によって一般質問をキャンセルせざるをえず、委員会も欠席、今日の反対討論は退院後の聞き取りを基に作成したのでした。駐輪場については以前にも触れましたとおり、自転車整備にかかわる長期的な位置づけをしないまま、という拙速さを問題にしました。暫定利用とか、再開発用地とか、目的外使用と説明してきた用地です。今の雑然としたままでいいとは誰も思っていませんが、あふれた自転車はどこに行くの?という素朴な疑問に誰も答えられません。こういうのをまさしく「見切り発車」と言うのです。いまさら何を焦っての提案なのかよくわかりません。新総合計画も同様に、焦って提案、と私には映りましたが、もう少し「どっしり感」をもってもよいのでは?
 補正予算については、国の緊急対策がなってないという一点を批判しました。百年に一度の危機、とかいっている割には認識が甘くて情けないことこの上ありません。

 なお、賛成討論は、請願の議員年金のもの、私学助成拡充、最低賃金、に関する陳情について行いました。

 <討論原稿のメモ>(実際の登壇では手を加えてあります)

最低賃金
最低賃金は神奈川県においてさえ、まだ時給にして800円を超えません。最低賃金の改定額の現実と、求められる労働条件の改善の目標には乖離があります。大幅増額を求める声に対しては事業主の負担増を懸念する立場からの抵抗もありましたが、負担軽減については公的なサポートを考える必要もあります。昨今の低賃金・不安定雇用の増大は、日本社会が解決しなければならない第一の課題といえ、そのためになさなければならない公的なサポートを含めて検討していく必要があります。
とりわけ、陳情項目にあります、「同一価値労働同一賃金」の原則は、意見書を出した上でなお議会として大きくアピールしていくことができたらと願わずにいられません。

私学助成
陳情の趣旨に述べられている陳情の趣旨はよく理解できるもので、冒頭には「園児、児童、生徒」と書かれていますが、主要なポイントは明らかに高校の問題に集約されています。経済的負担軽減についても、高校生を第一に考えざるを得ないのは実態から言っても当然のことと思われます。
私学助成については、若干の不公平感をもたれることもあるかもしれませんが、そもそも、公立だけで教育が保証されていない、あるいは公立と私立が役割を分担している現状からすると、一概に当事者だけで負担しろというのは無理があります。とくに、公立学校、公教育に対する信頼が失われつつある現状は嘆かわしくもあり、ここの建て直しを進めてこそ、教育を受ける権利を国が保証する責任を果たすことになるのではないでしょうか。さまざまな選択が認められ、価値観の相違も許容され、強制されることのない教育の実現は公立も私立も同じです。必要に迫られた選択という側面があるかもしれませんが、私立の場合は経済的負担は伴うのは税金が投下されていない以上必然で、その分、いくぶんかの補助はやむをえないことであるといえます。
さまざまな意見を集約して、よりよい制度を厚木市で実現することや、神奈川県や国に要望するためにも、どうすべきか、あるいはすべきではないかについての学習会・研修会などを議会で催すことなども視野に入れてみるのもよいかもしれません。

議員年金(省略・22日の日記参照)


§53「自転車など駐車場条例の一部改正」
 自転車対策は交通安全という観点から進められていますが、環境基本計画にも位置づけがあるものでありますし、また今回の立地は暫定利用の土地で、取得した用地の目的との関係で言っても、都市計画上の意味からいっても再開発の計画がある土地であることから言っても、それ相応の合理的説明が求められることは明らかです。
 きちんと整備するというのは間違った話ではないし、不法駐輪をなくすという意味からもそれ自体は理解できない話でもありません。ですから、本会議でも述べましたが、自転車の安全利用の促進および自転車などの駐車対策の総合的推進に関する法律」に基づき、自転車など駐車対策協議会を作り、自転車駐車に関する総合計画を作成することが必要です。その際に、くれぐれも安易なコンサルタント企業などへの委託はすべきではなく、NPOなど住民の自治力を向上・発展させるためにも住民の力を借りて進めることが望ましいと思われます。
 
§57「一般会計補正予算
 そもそも緊急雇用創出事業臨時特例基金なるものは、3年時限、雇用は6ヶ月未満、繰り返し雇用できない、などという制約つきのもので、まったく実態と実情に即したものではないということが明らかです。
 このところ、景気が底を打った、上向きになりつつあるというようなことがいわれていますが、なぜだと思われますか?これは、リーマン以降、半年以上にわたってハケン切りなどの雇用悪化、失業増大によって企業がスリムになったということによるものであるし、国際協調の景気対策の中で莫大な資金を注入して財政出動を行ったことで、投資先を失っていた投機資金が一次産品などに流入し始めたことによる株価の上昇による上向き感によるものです。
 これらはすでに言われていることではありますが、実体経済の回復がない中でのことであるために、まったく安心できるものではありません。
 政府の対策は、日本の将来の構想をさししめすことという本来今、一番なさなければならないことから逃げてばかりで、政権維持のために危機の繰り延べばかりに終始しているのです。懸命な国民はそのことを十分承知して、何も示さない権力に何の魅力も感じることなく、仕方なくいただけるものはいただきますが、後でまさか増税で取り返すなどということはなさいますな、と警戒もしているわけです。将来の安心が得られないため、安心して消費することもなく、第一国民の大多数は、消費に回せる資金は相当減っていることを忘れてはなりません。
 6月補正という珍しい補正ではありますが、4945万1千円の補助金は、もはや緊急対策という名に値しないものに成り下がっているということです。緊急というのならば昨年の年末までにやっていなければならなかったのです。どれだけの人が
この半年に苦しい思いをしてきたことか。
 プレミアム商品券があっという間に完売しました。これも多くの市民が指摘するように、大変不公平感をもたれる結果となりました。生活防衛にほとんど意識を使わざるを得ない市民の深刻な状態を甘く見てはなりません。