トップに期待したいこと

 トップに期待したいこと。いろいろあるかもしれませんが、1つだけに絞るならば「語ること」につきます。自己のビジョンを有権者に向けてきちんと発信して欲しい、ということです。この時代の舵取りが簡単ではないことは誰もがわかっています。だからこそ有権者の目はより厳しく政治に携わるものに向けられているのです。そうした有権者の批判を受けることを恐れて「語らなくなる」ことがもっとも危険です。
 仕事を失ったり、安定しないという人々がいて、介護に苦しむ家庭があり、子育てに悩む人もいます。給付金はあっという間に消えて生活救済としてもまったく足りる話ではないほど。高額所得者が何のために受け取るんだか私にはわかりませんが、とにかく有権者の政治への関心はとても高く、評価は甘いものではありません。
 うわべをなでただけのような、本質から逃げたような政策のすべてはおそらく賢い有権者に見透かされて、生活と政治をより遊離させるでしょう。ごく一部の情報を共有できる者たちだけの間では本音を語るけれど、ひらばでは貝のようになってしまう。こうした密室が好きなのが「国民主権」を遠ざけた「官僚主導」の政治にほかなりません。介護保険の破綻、医療政策の混乱、年金制度に見られる無責任、格差を拡大させてきた不公平な税制、税金を食い物にしてきた天下り、これらはすべてこうした政治の中で進められてきました。机の上で作られたシナリオに、さまざまな利権という隠し味が埋め込まれて、有権者がよくわからないうちに「決定」されるのです。
 
 政治は誰のものか。

 トップを担うものに、担おうというものに、その資格があるものに考えて欲しいことです。