2月議会終わる。

 長かった予算審議を含む2月議会が今日終わりました。本会議終了後、全員協議会では退職職員の紹介ののち、なんと報告事項が11、その他で10もの報告があり、体力的に限界、頭も飽和状態。報告の資料は第4次厚木市行政改革大綱および実施計画、あつぎICTプラン(情報化推進計画)、地域福祉計画、第2期厚木市生涯福祉計画、第4期厚木市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、第2次厚木市生涯学習推進計画、文化芸術振興プラン、環境基本計画、一般廃棄物処理基本計画、市立病院改革プラン、教育充実プラン、ほかです。はっきりいって、資料をあける気もしないほどの分量。いっぺんに出しても対応できません〜。
その後の市立病院の特別委員会は傍聴、整備専門委員会を中心に質疑が行われていました。4月に第1回会合を予定しているようで、おそらくその時に今後の方向性を定めていくことになるでしょう。
さらに、代表者会議。オブザーバー参加、とはいえ、厚木市議会ではオブザーバーに対しての対応は寛容で、ほぼ同じ扱いを受ける。これは私が初当選以降、長年の経過の中で、当たり前のように定着してきた厚木市議会の比較的先進的な部分と言えます。今日の議題は、自治基本条例の中で議会の取り扱いをどう考えるのかの議論が主でした。

 本会議での討論に力を注いだ一日が過ぎ、焦点は総合計画推進のための新しい陣容がどうなるのかという人事問題に移ります。どうなろうと、私の仕事の中身に変わりはありませんが。定額給付金がらみの反対討論はアドリブ主体でした。議案に対する反対討論を長い文章ですが以下に載せておきます。


 <反対討論>
昨今の景気動向を見れば明らかですが、回復の兆しが見えません。株価の低迷や雇用の不安定化、新規採用の状況や企業倒産件数の増加など、マイナス要因が多く、政治が状態解決に役割を果たせないことでなお混迷を深めています。世界経済の状況も、アメリカの市場原理主義新自由主義の限界が蔓延し、新しい牽引力と見られる新興国も富裕層の資金力にのみ頼ったバブル政策にならざるを得ず、したがって新しい秩序が構築されるまでG7がG20になろうと事態は安易な解決をもたらすことはありえないでしょう。
そうした情勢の下、わが国の進むべき道を不安視する国民は多く、一方その中から主体的な政治参加を求める力も備わってきています。各地で住民投票などが行われているのも大切なことで、こうした直接民主主義を求める運動は今後ますます重要な意味を持つと思われます。
厳しい時代の中では必ず人類は新しい可能性を見出して危機を乗り越えていけると歴史は証明しています。新しい市民の連帯などにそうした明るい兆しを感じながら、おもに総括的に、一部具体的に討論をいたします。

 議案第10号 平成20年度一般会計補正予算(第6号)については
財政調整基金の歳入での20億円の繰入金減および歳出での積立金増約39億円は、総合計画初年度を意識しての財源作りという意味で、自治体でできる景気対策や雇用対策を優先しているとはいえません。50億円の法人税収入増は、その後の法人税動向を見守る中で12月補正を見送ったとの説明でしたが、昨年秋以降の景気情勢の税収への反映は今年以降に現れるわけで、全額とは言わないまでも対応は可能だったはずです。1週間でも早く資金繰りを、1日でも早く仕事を、という切実な声は届いていますでしょうか。

■議案第12号、13号、14号、後期高齢、国民健康保険介護保険の3つの特別会計補正予算については
国の事務の遅れの影響や制度の不安定化によるしわ寄せを自治体や市民が負わなければならなくなっていることを感じさせるものです。給付の実態が見込みより低かったとしても保険料がそれに見合って軽減されるということはありません。一般会計からの繰り入れが減額されたことを決して喜んではいけないのです。国民皆保険制度を崩壊させないために、という大義の中で制度を維持できれば個人負担の増加はやむなしという論調は危険です。また、保険料が一時的に負担軽減されていることをもって、将来的に低い保険料ですから安心ですなどというわけはないのであって、本質的な問題は先送りされたままという、主要には厚生労働行政の問題です。

■議案第18号 介護従事者処遇改善臨時特例交付金基金条例について は
2号保険者の負担増について、応分の負担は当たり前であるという考え方は納得がいきません。介護従事者の待遇改善とは、3%の報酬アップのために保険者には一切負担を求めることはならないし、そもそもわずかそれだけのアップしかできないのかという本質的な論議を回避した妥協の産物でしかありません。さらに初年度はともかく段階的になくなるというのも国がよくやる手法で、本気の対策とはとても思えません。

■議案第21号は
市長の給与を20%減額にするというのが提案理由にある「未曾有の経済情勢を踏まえ、市長自らが財政対策を推進していく必要があり」ということが結びつくものではありません。市長が我慢しているのだから市民も痛みを我慢しろというのはおかしな論理であるし、市長の給与を減らさなければ行政はコスト削減できないのかという話になりかねません。さらに新年度予算では市長の給与を減らしているにもかかわらず、そうした危機感が反映された予算になっていると、みなさんは思われるでしょうか。

■議案第26号は心身障害者医療費の助成に関するものですが、
神奈川県は重度障碍者の在宅支援を大幅に減額する条例改正を示しました。44億円以上あった予算は10分の1程度になろうとしています。経済状態の悪化は低所得者や障害者の生活を直撃します。厚木市の財政事情を考えると、こうした削減は緊急だったといえるでしょうか。所得制限については否定しませんが、どのように設定し、累進性をどう作るかは議論の余地があります。敬老事業や子育て支援事業など、実効性が乏しく有効な事業に変えるべきものはありますが、本条例の改正はそれに該当するものといえるでしょうか、疑問です。

■議案第28号の国民健康保険に関する中身については
市民への負担増を軽減しようと苦労された点については評価できます。新たな軽減対象として2割軽減を受ける世帯が2,255世帯生まれることになることがその評価の中身です。しかし、応益負担の割合を現行の34%から大幅増の46%になることについては問題です。応益割合が45%から55%の間に設定されたときについて7・5・2割軽減が可能とする、というそもそもの規制のありかたに対して、反対するものです。

■子ども科学館条例の一部改正、コスモシアターの構想ですが
2の2の再開発事業計画の方向性が定まらないうちに、しかもシティプラザの老朽化がすすんでいるのに全体的な施設の今後についての考え方を示さないのが問題です。いす、カーペット、照明などのリニューアルに2000万円以上を投資するのは中途半端になる可能性があります。新たな投影機はリース料約400万円、たしかにこれまでとの比較では安いですが、子供対象の投影は100円でいいとしても、もし新機種導入というのであれば200円という新料金設定については同好会、利用市民等と協議したでしょうか。必要最低限の市民サービスというよりも付加価値を求めたサービスで収益性もあり、さまざまな可能性を秘めているのに、夜間のライブ投影をどれだけ増やすのか、収益事業をどれだけ行えるのかの事業計画をまずは提出されたい。
そして実は何よりも重要な問題は、2009年は、発明されたばかりの望遠鏡をガリレオ・ガリレイが初めて空に向けてから400年となることを記念した「世界天文年」です。これは 国連・教育科学文化機関UNESCOと国際天文学連合IAUが共同で国連総会に提案し、承認されたもので、その定義は「一人ひとりが空を見上げ、宇宙の中での自らの位置に思いをはせ、宇宙、地球、そして人間というものについて、自分なりの発見をすること」を目的とし、人類を「地球人」として再認識し、未来に向かって一緒に行動していくことを目指している、としています。そうした位置づけを提案の際にきちんと強調されないあたりも、残念です。

■議案第31号 平成21年度厚木市一般会計予算については
まず第一に、新総合計画スタートの年度となるにあたって「今後の財政状況を考えますと、今までどおりの事業展開を望むことは難しくなりました」と施政方針で述べながら投資的経費は過去5年間で最高額の94億5千万円にしたとし、プラス予算にしたことを強調されました。そのための財源は財政調整基金繰入金で28億7600万円、臨時財政対策債で26億円を見ています。こうした初年度の意気込みは理解しますが、財政的な裏づけが企画からは十分なされたとは理解しがたいものがあります。失速を懸念するのは当然で、初年度から基金繰り入れや臨時財政対策債を当てにしすぎとの印象はぬぐえません。
さらに、選択と集中といいながら、それらがどう反映されたかも大変わかりにくくなっています。これは、プライマリーバランスからいっても7億2千万円強、黒字になっていることもあって実際はまだ真剣に危機感を持っているわけではないのではないかとすら思えるものです。
総合計画基本計画の代表的な指標についてもそれぞれ疑問があります。一例を挙げれば中心市街地活性化についての代表的な指標は「イベント来場者数」であります。指標はそれだけではないはずです。資料によりますと、代表的な指標以外の指標はないとのことでしたが、それぞれ担当におかれてはできる限り多方面の指標をもって分析の力を上げてもらいたいところです。
そもそも、市民の満足度調査に反映される数値は、厚木市が行う施策に対してだけ反映されるとはいえず、国や県に対する満足度も含まれてしまうはずです。また、多忙な世帯が増えている中で、市民の意識を調査するアンケート類も増えていますが、正確に実態を反映させる調査のあり方を検討すべき時期に来ています。
スクラップ事業については、全体的にバランスを欠いている面が見受けられます。とくに、減額事業について、それぞれ各部、各課ごとで出したものを相互に点検しあう機会がなかったのではないかと思われます。
指定管理者制度について、導入すべきものとすべきでないものの線引きもまだ鮮明でないようです。公的な責任についての市長の基本的な理念が定まらないから方針が確定しないのではないでしょうか。人が人を育てるノウハウの蓄積をするために、安易な結論を導かないために、原則を打ちだしていただきたいものです。
総合計画258事業の実施計画のうち、人口減少社会に対応するための事業、または影響を受ける事業、についての資料を求めたところ、重点戦略に位置づけた145事業すべてが該当するとの資料をいただきました。これについてもおおいに不満です。総合計画自身が人口減少についての観点から新たに計画を作る必要があるというのも一つの重要な動機でしたから、具体的に145事業がどう影響するのかまでについて今後説明を求めていきます。
使用料と施設利用状況については、平成19年度の実績によればたとえば厚木公園ステージは利用者1129人でしたが、その大半は行政機関、労働組合メーデー300人)、商店会や自治会などに限られています。既存施設の有効利用は検討されているのでしょうか。新規事業の広町公園などもそうですが、ランニングコストや利用者見込み、収益性、などは最低限の説明責任を要するものです。あるいは、そうしたことについての説明が問われないで行政が成り立ってしまう状態で、自治基本条例は意味を持つといえるのでしょうか。
成熟路線における、量から質への転換に該当する事業は23事業あるという資料が届きました。その内容は不明ですが、たとえば障害者就労支援事業はなぜ「量から質」なのでしょうか。それぞれ不満が残ります。
義務的経費が増額する要素を持っている事業は14事業あるという資料も届きました。市長が推進する総合計画の中で扶助費の増額に該当するものもあるので、これについては、必要なものだという認識をきちんと共有していただきたいものです。市長の政策予算イコール投資的経費ではありません。
20年度の基金の運用で現在約4700万円の利金が生まれています。平均利率が0.7459%という利率ですが、これを取り崩す予定の財調28億7600万円にあてると約2000万円強の利金が得られる計算になります。青パト1台が200万円程度として各中学校区にいきわたらせて登下校時の安全を作り出す予算に当てることもできます。基金の取り崩しの前にムダの削減が大前提です。

県央の雄都、をめざすというというのはよしとして、相模川以西における自治体の中で、どのようなリーダーシップを発揮するのかが重要です。昨年度の市長公務のうち、他の首長との会合などの一覧を見ますと、その内容の詳細はわかりませんが、まだ厚木市が雄都となるべき条件を持てるような状態にはなさそうです。
鉄道の延伸についても、資料によれば要望、要請以外に戦略を持っているような記述がありません。2015年には相鉄線はJR乗り入れ、2019年には東横線に乗り入れ、と都心方面に延伸することになっています。新幹線新横浜へのアクセスも変わります。そうした状況下であり、昨今の不動産市況や開発の状態を見れば、総合計画基本構想期間内に、新しい条件をつくることを真剣に準備する必要があります。相模川を越えた県西部に投資的価値があるといわせる条件をどう作るのかが今は重要だといえます。そうした意味では近隣市との連携などはきわめて重要な意味を持ち、合併をせずとも、ゆるやかな自治体間協力は課題だといえます。相模川以西の自治体の玄関口として、新たに発展する要素を持つ海老名市と接点を持つ厚木市の役割は大切です。
なお、高規格道路依存はやめたほうがよいと思われます。
産婦人科医師獲得を含めた産婦人科再開も大きなテーマですが、実施計画の中では市立病院の建て替えを含めた検討は位置づけがあるものの、個別問題として医療の質的向上と公的医療の堅持という位置づけはされていません。公募による産婦人科医師の問い合わせは継続中のものも合わせて9件、という資料もいただきましたが、交渉が成立しなかった医師の方々へのアフターケアについては副市長や市長もコミットする必要があります。
農業政策については廃止事業が9事業もありますが、地産地消や獣害対策、など重要な課題を抱えています。重要課題という認識は庁内で共有化されているでしょうか。
2−2再開発やグリーンアイルなどの調査ものの委託はまったく不要、職員の経験の蓄積と民間の英知の集結で、経費を節減すべきです。
セーフコミュニティ推進事業は認証までに、市民の体感治安だけではなく実質的な治安の改善が図られる必要があります。実質的な治安の改善がなされないままに認証がされると、行政と市民の認識に重大なギャップが生まれます。これだけは避けなければなりません。
各々の事業について、貯金を取り崩し、借金を背負ってまでやるべき事業なのかどうか。それこそ、選択と集中が求められていると思うのです。でなければ、病院の建て替えなどはとても市民に説明がつくものではありません。
教育と環境の分野における新規事業は評価できるものも多いですが、これは選択と集中の結果と受け止めてよろしいのでしょうか。今後の展開に注目しなければなりません。
懸案の中間処理施設建設問題は以前より、一部事務組合を立ち上げる前に厚木市の側で自区内処理を市民合意するべきだと主張して来ました。再三、厚木市が候補地を決めてから組合を作るべきと主張してまいりました。まずは遠回りに見えてもごみの減量と最終処分、中間処理における厚木市の役割について、市民の合意を得るプロセスを大切にすべきです。この問題の解決と、コミュニティバス、病院建設の道筋を見せることこそが「元気な厚木」の必要条件と考えます。

■議案第34号 後期高齢者医療事業特別会計予算
■議案第35号 国民健康保険事業特別会計予算
■議案第36号 介護保険事業特別会計予算
■議案第39号 公共下水道事業特別会計予算 の4特別会計については
保険医療関係の特別会計は、国の社会保障費削減方針が根本的に誤りであると総括してこそ、新たな道が開けます。介護保険料の段階区分が第4期計画の中で9段階になったことはその累進性の設定を含めて評価しますが、保険料算定の中で12億円以上に及ぶ財政調整交付金相当が区分を第1号保険者が負担しなければならないことは重要な問題です。さらに2%の未収金が見込まれていてこれも第1号保険者が担う計算になっています。これらについては市費の投入で65歳以上の高齢者の負担軽減につながるようにすべきです。下水道については使用量の算定の構造は改善の余地があります。総事業費と需要の関係で、受益者負担が増加する方向を転換する必要があります。
以上。