諸悪。公立病院改革プラン

 先日、銚子市立総合病院休止についての視察報告をしましたが、少し付け加えておきます。

 1951年に開設したこの病院は、許可病床数393床(療養が23あるのと、精神が150あるのが特徴か)、診療科は16科で行われてきました。61年から地方公営企業法の全部適用で運営されてきたことは、はたしてどのような影響があったのかなかったのか。病院の経営悪化は07年1月から、産科が休止され婦人科のみになったというのが大きかったのかと、思われましたが実は06年まで35人いた常勤医師は07年には22人に、08年には12人に、と激減したのでした。いただいた資料の中にはこう書かれた部分があり、私はそこにアンダーラインを引きました。
「平成18年3月市議会定例会で特別職(病院長含む)の給与の減額改正議案が上程され、常任委員会で継続審議となったが、前市長は専決処分で同年4月から病院長の給料を月額93,000円引き下げる」

 さらに、アンダーライン。
「平成19年2月、日本大学は教育関連病院として市立総合病院をAランクからBランクに変更(18年度から19年度にかけて医師13人減少の要因の一つと考えられる。)」


 ところで、給与引き下げのあった06年3月からしばらく後の7月に行われた市長選挙で現職市長は僅差で敗れた模様でした。
 調べたところでは 13235 岡野 俊昭(当)、12756 野平 匡邦(現職)、9041 石上 允康  となっていて、479票差で新人が当選したわけです。 
 銚子市が、当面迎えている困難を考えると、厚木市の現在と当然かぶるところもあり、こうした政治的な背景を知るにつけ、無責任な論評はとてもできません。一般会計からは9億円しか繰り出しできない、そこでなんと水道会計からも繰り出しをして乗り切ったのが前年、もうこれからは9億円が上限だ、と言うのが市長。批判的な市民からは50億円も黒字ではないかという声が広がれば、打ち消すように使える財源はないのだと応酬。雨に降られた視察でしたが空気はピリピリしていてやたらなことは伺うこともできませんでした。

 先日も書いた通り、市長は県知事と何度も協議をしていたようです。しかし、千葉県も県立7病院が13年連続赤字、などと槍玉に挙げられている手前、安易な手助けはやりにくかったろう。累積欠損は308億円にもなる、などと新聞に大きく取り上げられていました。

 こうした状態を招いたのは、国だ! 公立病院改革プランだ。総務省医療崩壊に道を開いている。

 公立病院の改革は必要だということは認めてもいいけれども、それは医療崩壊を招かないようにという大前提がいるではないでしょうか。国の責任だって同時に問われるべきでしょうに、なぜ、不採算部門を切り捨てられない公立病院がなくならなければならないのでしょう。

  • 世界の失業2億3000万人

 先週の報道によると、世界の失業が2億人を超える見通しといいます。国際労働機関(ILO)の失業者予測が2億人を超えたのは初めてで、失業率は最悪の7.1%に達する可能性があると伝えられました。一日に2ドル以下しか稼げないワーキングプアも世界の雇用人口の45%に当たる14億人に達する恐れがあるとも。
 この記事では地域別の失業率も書かれていて、アフリカの10.3%、中東の9.4%が問題を浮き彫りにしています。
 海賊対策を言うときに、当面の対策のみを語っていてはいけないと私が思うのはこうした貧困の問題があるからなのです。ソマリアの海賊対策を、それぞれの国々で対応するというのはおかしな話ではないでしょうか。国際機関は何のために存在しているのでしょう?