インフルエンザ対策

 町田市にある病院でインフルエンザ感染によって3人が死亡した件で、予防が適切だったかどうかなどが調べられているようです。そのなかで、病院内の湿度が15%以下で乾燥していたことが伝えられました。外部からの来客にマスク着用を徹底しなかったことも言われていましたが、これはおそらくどの病院、診療所、施設でも言えることでしょう。手洗いやうがいの徹底も、不特定多数の人間が出入りするところではなかなか難しい問題ではあります。
 湿度の管理について、厚木の市立病院に尋ねてみたところ、温度は25度程度に管理されているものの、湿度は新生児治療室は適正管理しているようでしたが、病棟・病室全体ではなかなか難しいようでした。2次救急病院ですから、病院全体では難しいとはいえ、何らかの工夫が求められそうです。
 また、乳幼児への感染も心配、ということで保育所についても伺ったところ、それぞれ現場での対応で行われているようでした。おそらく厳密なマニュアルは存在しないのでしょうから、それはそれでいいと思いますが、インフルエンザが感染しにくい湿度が50%から60%といわれているようですから、チェックしてみるといいのかもしれません。
 学校については、文部科学省が、通知を出しています。こんなことまでマニュアル化されていることにまずは驚きましたが、湿度の保持はそれほど適正とは思えません。マニュアル化されていると、逆に意識が(意欲も)低下する、見本のような話です。「学校環境衛生管理マニュアル」のなかの「教室等の空気」という項をぜひご覧下さい。
 39ページにわたる長いマニュアルですが、インフルエンザを含め、疾病予防の観点が皆無だということについて、問題はないのでしょうか。新たに改定された根拠はおもに化学物質過敏症シックハウス、に対する対策を含めた、ということによるようです。教室の温度は冬は18度から20度が好ましいとしながら、10度以下の温度が続くようならば暖房を使うようにというマニュアルはなんだかおかしい。おそらく学校では湿度の適正な保持などは行われていないのではないかと心配です。
 なおマニュアルの中で、二酸化炭素についての項目は興味を引きました。中学校では授業中にほとんど換気を行わないと二酸化炭素は3500ppmに達する、というデータの紹介でした。基準値は1500ppmとのことですから、相当オーバーすることになります。酸素不足で眠くなったら換気するとか、現場では行われていることでしょうが、基準値以内にするためには3回以上換気する必要があるとのこのデータを信じるならば、実施されているのかしらという感じがします。マニュアル化されても意味がない、というのはこういうことです。
 空気の状態の検査は自然環境のもとでは温度、相対湿度、二酸化炭素の3項目のようですが、冷暖房を使用すると、これに加えて気流、一酸化炭素、浮遊粉塵、落下細菌、実効輻射温度の5項目が加わるといいます。つねにこんなことにまで気を配れる現場はありえません。しかもこのマニュアルではこれをどう実施していくべきか、そのためにはどのような措置が必要なのかについては触れられていません。
これら以外にも、膨大なマニュアルで、通読するのは骨が折れそうです。関係法令は学校教育法、学校保健法、学校保健法施行規則、などのようですので、理念的な部分だけでは抽象論に埋没してしまうでしょう。現場にとって、何が大切なのか、これが基本、忘れてはなりません。
 私の友人は、友人の子どもが学校のストーブのそばで授業を受けていて喉をやられるのでやかんを載せてほしいと頼んだらしいのですが、だめらしい、隣の教室では載せているのにー、と言っていました。市外の友人なので、それなりのアドバイスをしましたが、厚木市の学校はファンヒーターのようで、やかんを載せることもできません。受験シーズンでもあり、インフルエンザによる学級閉鎖などが拡大しないように、細心の注意を払いたいものです。