囲碁の世界

 張栩名人(28)に井山裕太八段(19)が挑戦していた第33期囲碁名人戦(七番勝負)は最終局までもつれこみ、激闘の末、名人が防衛に成功、というちょっと前のニュースに、今日は新聞で名人のコメントが載っていました。七番戦ったら倒れてもいい、というものだったそうです。

 囲碁の第一人者を争う戦いに、防衛する名人も若いなら、挑戦者はなんと10代というさらに上を行く若さ、素晴らしいことです。若手の頑張りに、多くのベテランも刺激を受けて、なお棋界全体のレベルが上がっていくことでしょう。
 囲碁はミーハー的に好きな私、自分の主張だけを通すのではなく相手の主張を認めていくという、つまり全部の陣地をいただこうとするのではなくて相手の領分も認めて、半目差で勝てばそれでいいのだという考えが気に入っています。そのほかにも、人生の教訓になるようなことがいろいろあるので、時折の観戦は息抜きになるし役にも立ちます。

 囲碁や将棋は、二人で棋譜を創り上げるもの。対局相手の力も借りて芸術的な名局を創造します。一人ではできないのです。だから対戦相手を尊重する、そして決して迎合することなく全力を出し切るのです。

 そこで、日本の首相の発言を思うに、大変寂しいのは、政治というものが人間にとってとても大事で、生きる上で欠かせないものなのだということを国民にメッセージとして送っていないということです。アメリカの政治が、リンカーンに立ち返ることができるように、ならうのならば日本の場合は何に立ち返ることなのでしょう。