金融危機と総選挙日程

 総選挙先送り論が出ていると報じられています。その理由は当面する経済危機に対する対策を優先するからというものですが、何度でも言わせていただきますが、経済危機を進行させてきたのは誰かということと、経済危機の原因は何かということ、さらには経済危機の進行の中で最も生活への影響を受けるのはどういう層なのか、ということが重要です。それとの関係で総選挙を論じているところは皆無と言っていいでしょう。そのことじたいがいかに人間の進歩に政治が果たすべき役割を担ってこれなかったのかということを示しています。

 経済危機を進行させてきたのは国際的な秩序を維持することを名目にアメリカ一国の世界支配を追認してきた国家の責任、というか無責任にあります。今の現象は、国際基軸通貨=ドルの威信低下によるもので、つまりはアメリカの没落によるものであることは明らかです。アメリカの没落を指摘している著書などは多くありますし、マスコミでも評論家の発言などで紹介されていますので一つの主張であることは間違いないと認められていると言えますでしょう。
 中国やインドの台頭については必然でもあり、相対的な面もありますが原因というよりは結果の一側面でしかなく、そういみでは一言で言えば世界的な経済体制の秩序が確立しない限りは為替の安定を含めた金融・経済の安定はありえないでしょう。
 
 混乱回避のために世界中の首脳が集まってもできることは税金を使って何らかの援助や介入をしていく以外には方策はないのです。それしかありえない! そんなことしかできない。でも、それは解決ではなく危機の繰り延べでしかないので、しわ寄せを誰かが受けるのです。で、最も影響を受けるのはどういう層なのか?? 経済危機の進行の中でいつも(いつも!)被害を受けるのは多くは固定しているというのが実態なのです。

 経済危機を口実にした総選挙回避は、本来はありえない話ですが、一度も政権交代を実現したことのない日本では、新たな政権になることは不安の要素があるために国民の中に選挙を望まない世論が生まれることもまた正常でしょう。そうした不安を払拭できるだけのものを持つことも、民主党には求められていますし、一方で日本のここまで強大になった官僚機構が権力を維持するために何でもして総選挙を回避しようとしたら、太刀打ちできるのは国民世論と運動以外にはないだろうというのが私の今の考えです。新人候補を多く抱える民主党にとってはまさに兵糧攻めのような状態ですが、真価が問われるのはこれからでしょう。