アメリカ金融安定化法案、下院で否決!!

 今朝の新聞各紙では、成立をほぼ前提に伝えられていたのが一転、否決となった金融安定化法案、7000億ドルの税金投入はいったん頓挫しました。もし、成立したら、早速批判をしてやろうと待っていたら予想外の結果となって、市場は混乱していますが、問題を深刻に受け止め考える機会を持ったことはよかったことだとあえて私は言いたいのです。
 昨日の時点で、市場は持ち直していたのならば税金による救済も効果あり、立ったかもしれませんが、市場では株安が続いて、持ち直す兆しは見られませんでした。一般的に、アメリカ国民は、自由経済の観点から税金による救済を好まないことは知られていますが、それ以上に、この気に乗じて今もなお、機関投資家はぎりぎりまで株価を下げる操作をしているのではないでしょうか。そもそも、サブプライムローンを契機に進行している金融危機は、グローバルな投機マネーの存在を背景に突き進んでいるものである以上、考えようによってはいくら税金をつぎ込んだところで本来の危機の解決には絶対にならない、ということに尽きます。
 政治的な妥協により、何らかの処置は取られることになるでしょうが、生産と消費の実体経済の成長に力点をおいた政策が、急がば回れ、の対策です。日本で言えば、農業や漁業への個別補償がバラマキだと批判をする声がありますが、税金を投下して救われるのが農家だったらダメで金融だったらよいというのは妥当なのか。日本の中央銀行が、円を支える、というのはありでしょうが、国際的危機ということでドルを支えるということ自体前代未聞です。いわゆる識者の声でも、アメリカを支えることは絶対条件であるかのような論調もあります(多い)。しかし、そうして守られている「安定」が砂上の楼閣であることに、そろそろ人々は気づいているのではないでしょうか。