理解できない〜なぜに暫定税率維持?

 福田首相の、暫定税率維持の主張がよく理解できません。

 暫定税率維持の主な理由は2つのようです。ひとつは、全国に(市場、地方)混乱をもたらす。さらに、環境への負担をどう考えるか。というような話です。
 混乱する、について言えば、それを収めるのが内閣の使命ではないでしょうか。混乱する、という理由で制度を存続させるというのなら、かつての消費税導入や消費税の税率引き上げなどは、大いに混乱もしたし、制度上は不備も多くて見切り発車もいいところでしたが、新しい制度にしたではないでしょうか。 介護保険制度や、障害者支援の制度関係は「混乱」しっぱなしで当事者に迷惑をかけ通しではないでしょうか。
 そうした事態を見越せなかったということは政治的な責任を問われるべきです。対応を準備することも、そうした指示を出さなかったことも、あまりに稚拙です。国民の生活を優先させずに、意図的に政治的混乱を誘発して民主党に責任をかぶせるつもり? 
 自治体の歳入欠陥問題も、特定財源暫定税率分に当たるものがなくなることによって、何をどのくらい保証すべきかを具体的に出し、事業を延期すべきものかどうかを決めて、決して他の市民サービスへの負担転嫁が起こらないように指導すべきでしょう。

 
 洞爺湖サミットまでに、地球温暖化対策としての数値目標を、などという言い分について言えば、前にもこの日記に書きましたが、まったく都合のいい話です。ガソリンの税金を負担することが温暖化防止に役立っているという前提で、暫定税率を廃止すればガソリン使い放題で温暖化が促進されるというのがお説のようです。
 59兆円にも及ぶ今後の全国の道路網計画は、実施すれば、当然地方の山林や農地が多くターゲットとなります。高速道路を整備することによって大量の流通が担保されて、車の総量は増えることは間違いありません。こうした「自然環境破壊」を進めておいて申し訳程度に環境を語るなどということが、土台おかしい話です。山がなくなり、森林が失われ、という事態を促進しようというのが政府の道路促進計画です。
 わが厚木市ではこれから先、さがみ縦貫道、厚木秦野道路(246バイパス)、第二東名、という3本の高規格幹線道路の建設計画があります。すでに、さがみ縦貫道は用地買収を終えていますが、市内の有数の田園地帯を見事に切り裂きました。厚木秦野道路は貴重な自然をたたえる山岳地域にトンネルを掘ります。サルの被害が、鹿の被害がと農業経営を脅かす状態になっているのに、山を崩していくのです。第二東名も、南部の水田地帯をつぶしていくことになります。
 それもこれも、高速道路に依存せざるをえない産業構造にしてしまったことに原因があるのではないでしょうか。

 そもそも首相は、全額一般財源化を進めるといいました。特定財源を廃止する考えであるのならば、いつまでも「暫定」の税率で税収を得るというのは間違いです。なんだかんだと言いながら、自民党道路族への配慮から、一般財源化を遠い将来目標かなんかと言い逃れ、暫定税率を死守するというネライのものではないでしょうか。マスコミは福田首相の決断をよしとして、一般財源化を勝ち取れといいますが、そういうことを平気で続けてきたからこそ、日本では政権交代が起きていなかったのではないでしょうか。

  • 追記

 ガソリンの値下げを求めるのは「悪」ですか?
 ガソリンの高騰は、投機によるもので、それが直接国民生活に影響している現状を少しでも軽減しようというのは間違いだと言うのですか。 それは、変だ。
 ガソリンスタンドなど事業者が負担をかぶるというのは「蔵出し税」の問題で、法律を変えれば(今回民主党が提出していますが)済むことです。こういうときに、環境を持ち出すという、人たちというのは生活苦というものがわからないのではないか?
 「ここまで、福田首相に迫ることができたのは民主党の成果だ、だから民主党も歩み寄れ」というような論調がありますが、この意見にも反対。私は、世間がわりと冷たかった「ガソリン値下げ隊」の活動を評価しています。大衆迎合だとか言われてましたけど。地域の中には今の税制そのものへの批判も含めて、「ガソリンが高すぎる」との認識があり、その感覚は実はほんとに正しいものではありませんか。間違った大衆の意識におもねって迎合するのなら批判もされましょう。しかし。正しい国民の感情や認識に依拠して方針を貫くことをなぜ迎合といわれなければならないのでしょうか。民主党の成果だ、という皆様方へ、その成果を作ることができたのはひとえに国民の世論であるということを記憶されたい。
 今、「環境」を持ち出すのは、本当に卑怯なやつだと私は言いたい。