中間処理施設

先月、6月9日付で棚沢地区「ごみ中間処理施設建設」白紙撤回を求める会からの公開質問状に対する回答が市長名で出されました。議会も終わり、陳情不採択の結果を受けて、行政側も地域の側も新たに段階に入ろうとしています。
公開質問状の中で、候補地の検討について、「どのように選定し、諮問する前に当該地の自治会に連絡したか」の質問に対して、「選定は、あくまでも行政内部での検討でありますので、それぞれの自治会などには連絡はしておりません」というのが回答でした。これは、本来誠意のある回答とはみなせません。なぜならば、どうして自治会に連絡をしなかったのか、という本質的な疑問には答えていないからです。質問は「連絡したか」という問いになっているため、その有無だけ答えればいいという考え方が、そもそも住民を大事にして行政を進めているというふうにはとても思えません。入り口の質問に対する回答がもはやすべてを物語っているようです。

また質問の「愛川町の迷惑施設(し尿処理場・葬祭場)が棚沢の直近に隣接して集中して存在していることを承知の上で候補地から外さなかったのはなぜか」に対する回答は以下のようなものでありました。
「検討委員会は厚木市に中間処理施設を建設するための候補地を検討することを前提に行ったものであります。ご質問のとおり会議録の中に「迷惑施設」という表現もございますが、中間処理施設につきましては、市民生活を営む上での必要不可欠な「都市施設」として認識しております。
 中間処理施設候補地は、構成市町村の位置関係から本市の中心市街地より北部よりであること、概ね3ヘクタールのまとまった用地が確保できること、幹線道路などの交通アクセスが容易であることの、3つの条件を基本に地図上から8箇所の候補地を抽出しました。その後、中間処理施設候補地等検討委員会で、収集運搬におけるアクセス、周辺環境、法的手続き、経済性など総合的な判断から4箇所を候補地として選定いたしました。
 その後、検討委員会の結果を踏まえ、4箇所の候補地について、政策会議へ付議し、厚木市の中間処理施設建設候補地の敵地として、棚沢地区を選定したものでございます。」
 引用が長くなりましたが回答部分すべてを記したのは、質問に対する回答になっているかどうかが疑問だからです。議場であれば、これは回答になっていないと、再度質問を投げかけられるのは必至です。

 さらに、質問の中で、鳶尾山を守る施策としての「展望台設置」、「桜の園計画」などやマスタープランでの位置づけが検討委員会で議論されてないのはなぜか、という趣旨の質問がありました。この回答は重要な回答で、今後影響があるのは確実です。
 回答の中では「厚木市都市マスタープランにつきましては、厚木市総合計画「あつぎハートプラン」を支える都市整備の個別計画として策定したもので、目標年次を平成29年とし、都市づくりの基本方向と将来像を示すとともに、部門別および地域別に都市整備の方針を定めるための指針となるものでございます」と、まったく聞かれていないことの説明から始まる、役所らしい回答が導入なのだ。問題は続いての部分。「このことから、社会情勢の変化や地域の実情などを踏まえ、関連諸計画の見直しとともに、必要に応じて市民参加のもと、計画の見直しをすることとしております」という回答。
 まず、これも回答にはなっていません。検討委員会で議論されていないのはなぜかを尋ねているのに、直接的な答えはどこにもないのです。しかも、関連諸計画を見直したのか?とか、この部分は、何がどうなっているのかまったくもってわからないという、「回答」なのです。

 本会議最終日の「賛成討論」の中でも私は市民の党を代表して、陳情に対する意見を述べました。私の思いは、厚木市のごみ処理を含めた環境を大切にしていく行政を市民とともに考えながらつくっていく可能性を、行政から閉ざしてしまった、そのことが大変残念だという思いでいっぱいです。

 質問状についての解答はほとんどが回答にはなっていません。ここにすべては触れませんが、行政側の強弁にすぎず、こうなると2月議会での環境部長答弁の「反省すべきは反省する」は、単なるその場しのぎの言い逃れにすぎず、本会議場での答弁にもかかわらずその言葉を重んじようともしていない、不誠実なものにほかなりません。