市民を裏切ってはならない

厚木市職員が生活保護費を着服していたことが発覚し、懲戒免職処分になりました。金額は780万円で、遊興費に使っていたと公表されました。大変残念な事件です。全額弁済されたようですが、こともあろうに福祉部の不祥事、とくに生活などに困っている市民を相手に、不安を抱かせないことが大事であろう職場で、市民の信頼を裏切る行為がなされてしまったのです。

さる2月議会、総務企画常任委員会で、新年度予算の質疑で私は、かなりの部分を職員課に対する質問に割きました。まだ最近の委員会なので、厚木市議会の会議録検索では出てきませんが、「政策査定」の中で、不良職員の退職勧告、のような検討がされてきたことを知り、そのことを通じてかなりの質問をしたのです。

大幅にかいつまんで言いますと、職員をどう育てていくのかという観点がなければ、人は育たないのではないかということです。

たとえば、私が気になっているのは、本厚木駅前に3千万円近くの公費を出して、市制施行50周年記念モニュメント時計を設置しましたが、これが場所と時間帯によっては大変見づらいんです。見栄えと耐震性、を重視してこの値段だそうですが、「見にくい」という声は結構聞かれていました。でも、議会で聞いても、絶対に市民からの不満の声があることを認めないんです。市長が進める政策に文句をつけるわけにはいかない。あることをないことにしてしまえ。これでいいのか、と私は思うのです。

今現在、職員課長が異動になって、少し時間がかかっていますが、そのほか、職員課に追加で資料や説明を求めている最中です。療養休暇の取得の詳しい状況や途中退職の状況などできちんと掌握しておきたいと思ったので。職員が市民のほうを向かないで市長のほうを見てばかりではいけません。市長の覚えがめでたければ出世はするかもしれません。でも、この時代に公務員という職に誇りを持った、市民に喜ばれる「全体への奉仕者」でいられるでしょうか。市民を裏切ることだけはできないはずです。

実は、私はびっくりしたんです。なぜかと言うと、生活保護費の資料請求をして昨日その資料が出てきたばかりでしたから。生活保護費は近年急増していますが、実はその大半は医療費扶助なんです。ですから、ここ10年間の生活保護費の変化を住宅扶助、生活扶助、教育扶助、介護扶助などの項目別に提出をしてもらったわけです。だいたい昨年で生活保護費約30億円のうち14億円が医療扶助です。

詳しい状況のチェックをやっていただいた過程で、今回のことが発覚したというのであれば、私の資料請求が不祥事を見つけ出すことに役立ったのかもしれませんが。そんなことがあるとは誰も思ってはいなかったのですけれど。

懲戒免職の処分は、2年前、覚せい剤保持であって以来です。あの事件の後も、職員には相当ダメージがあり、不安と動揺が広がったことを思い出します。納税者からすれば、高い税金を納めて「奉仕」する専門家を育成しているわけですから、本当にしっかりしてもらいたい。

今日は一言だけ。現場から出てきた話ではない。ということ。たとえば、厚木市の教育相談センターには継続的に不登校などの問題で相談にたくさん応じています。教育委員会の定例会でも、不登校対策には多くの議論が割かれています。でも、教育予算の新規事業はなぜか「理科の補助教員」でした。まあほかにもありますが。英語や数学の補助教員だけではなく、という理由の説明にはそれなりに根拠もありますが、補助教員はあくまで補助ですし、児童生徒の困難な状況解決に主眼がおかれた対策ではありません。昨年度は不幸な事件、生徒の自殺もありました。目新しい政策を打つことよりも、国が就学援助の補助を打ち切ったりしてきているわけですから、見るべき視点が違うのではないかと言いたいのです。

要するに、中央教育審議会を通じて、教育現場の実情からまったく離れたところから相も変わらず「改革」が語られ、また現場は新たな統制の下で没個性化が進むことになるのです。道は二つに一つ、それでいいのか、それではまずいのか、です。

さらに。(次回につづく)