米軍再編

沖縄に駐留している海兵隊をグアムに移転させるための費用、約100億ドルのうち4分の3を日本が負担するように、と日本政府が要求されている。国会での答弁を聞くと、すんなりとは受けないといっているようにも聞こえるが、アメリカがこういう要求を当然と思うような外交を、日本はしてきた、ということの証明ではないだろうか。
岩国での住民投票では基地の移転には反対の意思表示がなされ、神奈川県内でもキャンプ座間の基地機能強化には地元自治体が総力を挙げて反対する姿勢を示し続けている。政府は説得に当たり始めているが当面打開できる様子はない。沖縄もしかりだが、米軍再編は、最も友好関係が緊密だと首脳が顕示してきた日本で、つまり、日本の地方でかつてない抵抗にあっている。
そもそも景気回復などと喜んでいるが、二極化の進行と下層階級の固定化によってもたらされているもので、都市と地方との格差も拡大しているという事実は政府でさえも認めている。WBCで日本が奇跡的に準決勝に進出し勝利した際に小泉首相は「一度や二度、負け組になったくらいで諦めちゃあいけないね」とコメントした。このようにして「格差肯定」というような考え方を定着させようとしているのだろうか。いずれにしても、切り捨てられるところを切り捨てた上で、成り立っているというだけの話なのだ。
だから私は、地方の抵抗は、国家が、国家としての信頼を得られていないことの現われだと思うのだ。ほかにも、米国産牛肉の輸入再開問題もある。輸入再開に対する世論の多くが慎重にと願っていて、しかも結果が世論の正しさを明らかにしてしまった今、ますます政府の外交に対する信頼は失われていく。
国会中継で、沖縄の元県知事である参議院議員、太田昌秀氏が沖縄にまつわる日米間のかつての密約問題をとりあげながら、日米間解の問題に焦点をあて釘を刺そうとしている姿を映し出していた。テーマの選択も正しいと思って見た次第だが、いかんせん質問時間が制約されて短すぎる! あれでは、釘を刺すだけで精一杯だろう。いくら質問時間が長くあっても、政治的にどの問題に絞って、明日の日本をつくろうとしているのかを示すことができなければ時間と税金の浪費に過ぎない。