中教審

 中央教育審議会。私が学生のころから、文部省の「下請け」として「教育改革」の名のもとに教育の中央集権制を強固に確立する役割を担って活動している組織。総勢30人、トップである会長職は、山崎正和氏(LCA大学院大学長、劇作家、評論家、演劇学者)。ネット検索で引くと経産省の参与や内閣総理大臣の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」メンバーだったこともあったようだ。

 副会長には、梶田叡一・兵庫教育大学長と三村明夫氏。三村氏は経団連副会長、新日本製鐵株式會社代表取締役会長で、教育改革にこの人が絡む意味は何か。そのほかの委員には、大学の学長が名を連ね、地方自治体からは教育長、スポーツ団体の役員、監督などが就任。著名なところでは、宇津木ルネサス高崎女子ソフトボール部総監督とか増田明美さん(スポーツジャーナリスト、大阪芸術大学教養課程教授)、寺島実郎氏(株式会社三井物産戦略研究所所長、財団法人日本総合研究所会長)、といったところ。

 教育の話をするうえで、教職員組合を排除する一方で、全日本自動車産業労働組合総連合会会長の加藤裕治氏を委員にしている。



 ところで、ここに、社団法人日本PTA全国協議会顧問として梅田昭博、という名前があった。社団法人日本PTA。どういう全国組織なのか。

http://www.nippon-pta.or.jp/


 全国組織だが、位置づけは任意の団体のようだ。各地のPTAの上部団体というわけではない。ホームページ上の情報公開も極めて不十分だが、定款をみると、正会員は都道府県と政令市の小中学校PTAの連合組織をあてているようだ。しかも、すべてを網羅していない。いかにもネーミングは、上部組織っぽい名前であるのにもかかわらず、定款には「特定の政党や宗教に偏ることなく」と謳われているのに、中立性、公平性、公共性がどのように担保されているか、不思議だ。



 横道にそれるが、PTA、という組織には上部組織はいらない、と私は考えている。各単位PTAがあればよい。たとえば厚木市では厚木市PTA連絡協議会、というのがあるしその上に(上なのか?)県P、もある。でも、上意、というものがなじまない組織のはずで、むしろ、Pたる親、Tたる教員、の健全なる協力関係を単位ごとに確立するのが本旨だろう。


 さて、話を戻すが、中教審。おもいきり偏ったメンバー構成に、なぜ疑問符が付かないのか、そしてこの中教審が出す提案、答申、が金科玉条のごとく扱われ、文部省の基本方針としてその下地が作られるのか、皆目理解できない。こういうことを放置していることこそ、子ども本位の学校から、どんどんかけ離れていってしまう状況を促進していると言えないか。

 かつて私が中教審に不満を持っていたのが19歳か20歳のころ。まだ、教育を中心に、世の中を考えていたころだ。すでに30年余を経過し、いまもなおこの問題を抱えているということに、根の深さを感じつつ、また持論が国論として受け入れられない現実をも受け止めざるを得ない。