東電値上げ

niginigi32012-07-14

13日の日経朝刊社説「東電値上げは国の負担を増やさぬ形で」を読むと、日経の主要な論調は東電維持、を前提に考えられていると思われます。
いわく、「値上げ幅をできるだけ抑えたいのはもちろん」としながらも「だが国の負担を増やさないため、東電の収支悪化を防ぐことも重要だ」としています。人件費圧縮についても「社員の士気にも留意する必要があろう」と現体制を擁護、容認するかのようにみえる展開です。産業界、株主の利益を優先しているのがよくわかります。

電力供給のありかたと主に家庭用の電気利用料の問題は、将来あるべき姿、展望を共有しながら議論しなければなりません。短期的には再生可能エネルギー買い取りの拡大政策と、買い取りによって生じる負担の価格転嫁の課題を解決することが必要でしょう。

なお、この社説ですら、資産売却の上積みを検討すべき、とされましたが、これもまたなぜ売却されないままかは不明確です。

公金の投入がされ、さらに今後の賠償、補償を考えたら政府支援が不可欠でしょう。そこを避けては原発の事故救済は進みません。ですからなおのこと、資産の全容解明を行い、現在の体制維持を前提としない案を示すべきです。

この稿とは直接関係しませんが、文藝春秋(8月号)の新聞エンマ帖、報道にもの申す、「まずは社説を廃止せよ」はなかなか鋭く切り込んでいます。春秋誌そのもののスタンスとは異なるのではとは思うものの、痛烈であることによる快感は共通なのでしょうか。原発再稼動などを例に、各紙の社説比較、「ある政策の推進派となったとたん、新聞はその政策の負の部分を突くことをやめてしまう」と指摘しています。小さなコラムですが一読の価値あり、です。


また、日経のこの日の社説、もう1つ、食品表示問題についてでしたが、「消費者自身が、遺伝子組み換え食品の安全性などについての基礎知識を身につけられるような食育も大切だろう」との記載には正直驚きました。