市営住宅

 かつて市営住宅の家賃値上げに反対して、署名を集め、陳情を出し、しかし議会で否決された、ということがありました。平成5年(1993年)から平成6年(1994年)にかけてのころだったと思います。いまよりも木造平屋の低家賃住宅が多く、中層耐火構造の団地は少なかった。私は、陳情の否決=不採択をもって、当時まだ若かったせいもあり、若気の至りで辞表を議長に出そうとしたこともありました。私と同期の、故篠崎一成元議長でした。議員でありながら議会不信にもなり、迷える日々を過ごしたことを記憶しています。悩みをよく聞いていただける気さくな議長で、ずいぶん救われたものです。議会の役割に対して不信が募り、建設現場に出向いて日雇いでアルバイトをしたこともありました。

 苦悩の日々は長期にわたりますが、住民の声が通りにくいと感じながら、その壁を少しずつでも崩していく、地道な、地味な、活動が必要だということを学んでいくことになるのです。
 当時は市営住宅入居者選考委員会、というのがあり、議員も複数名構成員となり、入居に適しているかを審査していました。この審査の場では、今では考えられませんが、個人情報はさらされ、だれがどうのこうの、委員総員で入居を決めていました。で、私は、この手法では意図的に選ばれる可能性があるとして、手法の改善を求め、結果、現在のように、主観的な意図が介在しない、いわゆるガラガラポンの方式になりました。そのかわり、公平性を保ちつつ、困窮度合いなどを考慮する優先方法も確立してきました。

 現在、厚木市市営住宅は木造平屋が35戸、準耐火平屋が6戸、中層耐火が341戸、の合計382戸となっています。木造、準耐火はすでに中層耐火などへの転換が考えられていて募集はしていませんが、いずれにしても、厚木市の低所得世帯をカバーするに十分の水準とは言い難い状況です。しかも、このところの財政状況から、市営住宅を建設するよりは民間住宅の借り上げなどの手法への政策誘導がなされ(とはいえこちらも充足しているとは言えませんが)、倍率も5倍から20倍を超えるほど、と相当高い状況にあります。市内には、ほかに県営住宅があり、こちらも、かなり同様に高い倍率であるという情報を得ています。

 統計によると、厚木市平成23年生活保護者数は、1813世帯、2710人、となっています。人口に対する割合で、1.21%。5年前では0.88%でしたから、保護世帯、人数の増加は深刻な問題です。デフレ不況が長期化する中で、対策は取られないまま、生活悪化の状況が続き、拡大しているといえます。おそらく全国的な傾向でしょう。

 生活保護世帯以外にも、救いを求める人々はたくさんいます。こうした困窮世帯、低所得者層の救済は、ちょっとやそっとの行財政改革で、補えるというのはまったくのデマで、前向きな解決策から遠ざけてしまう、否定的効果しか生み出しません。巷に溢れかえる怒りの気持ち、やり場のない思い、これらに真剣に向き合うというのは当然です。しかし、未来につながる解決方法の提示なくしては、私たちの本来の役割を果たしているとは言えません。

 対応は急がれる一方です。


■議会のあり方検討会
議長に提出する答申案の検討。自由討議の手法について、決算審査の方法について(共通資料の在り方)、請願者の委員会での意見陳述について、押しボタン式投票による採決について、議会基本条例の策定について、地方自治法改正に伴う検討について(議員定数の在り方)、通年議会の実施について、という7項目を整理しました。継続的に協議を要するものも含まれますが、議長任期との関連もあり、日程的にはかなり迫られていて、ここまでで答申をせざるを得ません。正式には、議会運営委員会に諮られ、決定されるということになります。

このかん、傍聴にいらしていただいた市民の皆さん、議会の改革の流れについては、なかなか周知が十分とは言えないとは思いますが、二元代表制の役目を今まで以上に果たすことが可能になるように、取り組みます。