議員定数論議

 私の議員定数論議についての基本的な考え方は、できるだけ多様な意見が反映されたほうがいいということです。これは、もちろん地方議会についてです。
 先日の議会のあり方検討会、では今後も継続して議論していく必要があるということで、とりあえずは現在の議長に答申を出すという形に方向がまとまりました。ご存じのように、みんなの党は、議員定数半減が主張ですので、異論もあったでしょうが、多数の意見にここは従わざるをえません。政治的な主張を鮮明にすることは良いことなので、今後の具体的な議論の中で、解決をしていく必要があります。
 
 「多様な意見が反映されたほうがいい」という私の意見であっても、会議でも申し述べたように、「何人が適正なのか」を明確に言うことが大変難しい。それは、いまのところ、感覚でしかないけれども、28人という厚木市議会の人数が多くて不要で、半減の14人で十分事足りる、という感覚には程遠いということです。むしろ、議会の積極的な役割をどうつくるかのほうに、主に意識が向いているというのが正直なところ。
 反論意見という形で、みんなの党の委員に疑問を呈したのが「景気が云々で定数を減らす、というのは、では景気が良くなったらまた増やすのかという説になるのか」という点と「そもそも二元代表制をどう考えるのか」という点でした。この点については議論をすることが今後の機会に譲られましたので、あらためての議論となるでしょうが、どうしてもいきつくところ、「議会不要論」に限りなく近いように感じてなりません。そうなると、地方政治を成立させている二元代表制の否定になるのではないかということです。
 世論の中に、地方議会の役割が見えにくく、そのために「いらないんじゃないか」と不満が出るのはよくわかります。しかし、だからといって本当に要らないのでしょうか。

 地方政治は、議院内閣制の国政と違います。基本的な政治の仕組みの理解の問題になります。二元代表制を否定するということは、市長権限を強化するということを意味します。これが今の世の中だと成立しやすい論法です。市長のやりたいことをやらせない「抵抗勢力」となるのが議会だと。市民の声を直接聞き、市民参加とか市民協働とか言いながら、行政主導で進める。議会はそれを追認していればよい、と。
 たしかにこれならば、議会は不要でしょう。しかし、行政に届く声は必ずしもすべてとは限らないし、利害関係の調整が必要な場合もあるし、各方面からの検証が必要なこともある。その役割を否定するのは危険です。

 そもそも、議会は目立つ存在ではあり得ないし、議会が目立つことを意識して行動する必要も感じません。充実した市政を市長が展開しているのであれば議会も健全だということの証でしょうし、そうでないなら議会もまた不十分ということでしょう。責任を押し付けあっているようでは未熟との誹りを免れません。

 先日、議員クラブでの研修会で招いた松陰大学の嶋津教授のご意見としては「減らすことには賛成できない」としながらも、一つの定数の根拠として4委員会で6人、の24人、という具体的な提案をされました。
 私もこのところ、市民の方々より意見をうかがうことにしていますが、数の問題にそれほど疑問があるというよりも、仕事の中身が見えにくいということのほうが問題だという声があります。また、そもそも、厚木市政の問題点を共有することができているのかということも感じさせられます。
 
 今後、定数論議をする際に、行政主体の「市民協働」ではなく、議会が呼びかける「市民協働」のかたちで合意形成を図る必要も生じてくるでしょうか。いずれにしても、なかなかの難問であるということを感じています。