解決の順序

 世の中には問題が多いので、何から手をつけたらいいのかがわからないときがあります。私は、貧困の問題・格差是正という問題が優先されると考えています。
 古来、政治はどれだけ多くの人を食べさせることができるかで、権力が維持できるか、打ち倒されるかが決まってきたと思います。それは、本質において、今も変わっていないでしょう。ということは、この地球に貧困がある限り、安定がないということであり、派生する諸問題に対応するためのコストを考えたら根本的な問題をそのままにしておいて、現象面に追われているということは、限りないムダになるということになりはしないでしょうか。
 
 ですから、解決の順序は、まずは貧困の解決からだということになります。ということで、今は真っ先に投機への規制が必要になります。カネがカネを生む構造に手をつけ、貧困解決に充てる財源を求めるべきです。
 なぜそれを言わないのか。不思議ではないですか?
 財源がないというのは日本国民の共通認識にされてしまいました。財源がないから社会保障費の削減はやむなし、医療費も多すぎ、消費税増税も仕方ないかな、環境税も必要か、タバコは1000円でもいいか、と。
 考える順序から言えば、それをやったら貧困は解決するのか?をまず考えてみてほしい。格差は是正されるのか?と。
 
 環境保護の考えは正しいし、それは推進すべきとも思います。水を守り、緑を増やしていくのはどう考えても必要。でも、そこから「経済成長」を否定するというのは問題ではないのか。環境税に抵抗する経団連を擁護はしませんが、環境税というのはいったい誰が、なぜ、どのくらい負担するのかということが問題で、環境一般は貧富の差に関係なく負担する性格なので、つまりは逆進性を持つ可能性が高いと言えます。だから、私は、優先度が低いと思っているのです。まずは、所得が増えて、きちんと生活できることを保障し、税負担に耐えられる国民の層を厚くすることが必要ではないのでしょうか。
 タバコは健康によくない。吸う人が少なくなることは望ましい。私も禁煙して以降は紫煙に悩まされる側になり、分煙の推進派ではあります。でも今の日本の実情から言えば、タバコ1000円の仕打ちに耐えられるかどうかははなはだ疑問です。喫煙スペースが減っても歩行喫煙は減ったとは思えませんし。つまり、ある問題が解決されたとしても、一部解決できない問題が残ったとして、その残った問題が大問題として次の問題を引き起こす可能性のことを私は言っています。

 健全な右肩上がりの経済を立て直して、笑顔で植樹をしまくって二酸化炭素を減らすほうがいいでしょう? 排出量取引で、またこれが投機対象となるような愚を考えたらよっぽどいいはずです。

 さて、厚木市の非正規雇用者数の資料が手元に届きました。
 2006年 正規 75,355人  非正規 51,997人
 2004年 正規 71,288人  非正規 46,849人
 2001年 正規 85,018人  非正規 45,747人 (勤労福祉課提供)
 5年間で正規が1万人も減り、非正規が6千人増えたという数字です。
 これも経済の二極化を示す数値だと言えます。