美しい国ぃ?

国民健康保険証が取り上げられた人が30万人以上いるという。すでに「皆保険」の精神は失われたのか。

生活保護母子加算の段階的廃止に顕著ですが、日本の福祉は最後の砦すら崩壊の危機です。介護保険導入以来、ひたすら進んできた道がこれなのです。ほんとにこれでいいのか?

イラクでは米兵が約3千人死亡といい、イラク人は15万人も死んだという。こういう世界の状況において、安倍自民党の「美しい国」は私には「一国主義」に思えます。第二次世界大戦後の世界の中で日本国憲法前文が指し示した方向は極めて正しく、またその意義自体、は決して後退するどころか、ますます今重要になってきていると私は思っています。世界中にまだ戦乱、貧困、抑圧、差別と隷従が存在し、武力を持って解決せざるを得ない状況を今日まで継続させている以上は、日本人は憲法前文を使命とした「地球人」としての国際的役割を堂々と担っていく必要があります。しかし、安倍自民党はこの世界的な危機の中で、北朝鮮と日本、アメリカ、くらいの狭い視野の中で日本人の意識を固定化させ、何か新しい美学のもとにでもまとめ上げようとしているかのように思えます。それは結局のところ日本の官僚を中心とした権力基盤が揺らいできているのを、これまで何とか小泉人気で乗り切ってきたところ、どうも今後は乗り切れそうもない、となった状況でのぎりぎりの「指し示された道」に過ぎないと思うのです。「美しい国」などといっても、それは「誰にとって」美しいと感じる国なのか。

この世界には、多くの民族、宗教、言語、文化、そうした歴史、があります。第二次世界大戦後の、そして冷戦終結後、歴史は大いに前進をしているしたくさんの犠牲を経てはいるけれど、新しい世界を作り出せる可能性事態は切り開かれているように思える。地球上の多くの困難を乗り切るだけの経済力も技術力も、人類は持っていると私は思うからです。「強いアメリカ」のみで乗り切ろうとしたブッシュではだめだとなった後に、日本は世界をまとめて今こそ「道」を指し示さなければならないのです。

美しい国」などという空論を温室の中で語ったところで、国家としての成熟はありえない。国民がそうした「美しさ」を求める環境にすらなくなっていることに気づかないのが安倍自民党なのだと私は思う。見事な自己陶酔といえよう。