地方税法改正

いままでも、何度もこのような機会はありましたが今回ほど、深く思い悩んだことはなかったと思う「地方税法の一部改正に伴う市税条例の一部改正」。


討論で述べたとおり、今回は抗議の意思表示として「反対」しました。ですが、では、ほかの会派含めて反対が多数を形成したとき、市税条例は執行されるのか。執行権は、担保されるので、議決をくつがえすことは是とされるでしょうが、つまり地方議会の議決は、国政での決定に異議を唱えることを保証されていないということになるのですね。地方議会が、今回の市税条例は、市長が言うように「地方法人税の一部国税化は納得がいかない」というものであるために、従前の形で徴収する。ということを支持して、形式的には国の決定に従わざるを得ない改正条例に反対をしたとする。

国としては、だまってそれをよしとするわけにはきっといかないだろう。何らかの措置をすることで対抗をする。それらのことについて、それらの事態を想定しての対応策について、立憲国家のわが国は、まだ確立をしていないのではないだろうか。

抗議のために意思表示として反対する、というのは不本意である。何度も繰り返す屈辱を思うと、反対の意思表示がいくぶんかでも、国に対する影響力を持つことがないと、地域主権あるいは二元代表制、の地方自治制度の魅力はなくなるのではないでしょうか。



-6月27日本会議最終日、賛成および反対討論骨子

■反対討論
■議案第41号 厚木市市税条例の一部を改正する条例について

 地方税法の一部改正に伴う措置ですが、地方法人課税の偏在是正のための措置と称して、基幹税である法人市民税を狙い撃ちされたもので、非常に安易なもの。軽自動車税増税軽自動車税がおよそ1.5倍、最低で2000円、という措置。原付自転車は、2000円に。

■議案第45号 平成26年厚木市一般会計補正予算(第1号)
 社会保障・税番号制度システム整備事業費47,294千円については、平成28年1月開始のマイナンバー制度に対応するため、住民基本台帳システムや宛名システムなどの改修費用、マイナンバー制度の総体的な導入の費用は平成26年度から平成29年度にかけて、2億5000万円程度。厚生労働省分の予算の対応についてはまだ制度の詳細が明らかでなく全体像が分からず。全体像が分からないままこれだけ多額の投資をして準備を進めなければならない、というのはもう後戻りはできない、という段階に入ったと受け止めろということ。
 マイナンバー、のねらいは行政サービスの効率化や社会保険料の未納対策。高額所得者の脱税を防ぐ意味合いよりも、現政権下では、医療費抑制など社会保障支出の圧縮に狙いの重点が置かれている。医療ビッグデータを国内の製薬会社に開放するなど個人の医療情報の扱いについては懸念材料が多々存在している。
 このような状況をかんがみ、安全性の問題を含めた費用対効果の検証など、自治体の側の準備以前に、住民の不安払しょくを。
緊急雇用事業について、平成25年度国の補正予算において創設された、地域人づくり事業を活用したもの。こうした緊急雇用が一過性のものになりかねないという懸念あり。
 土曜授業研究事業費については「研究モデル校に係る経費について、申請を行ったところ国庫補助金が採択されたもので、主としてアドバイザー等の人件費」ということだが、土曜授業を始めるにあたってもろもろ想定できる対策を講じていただける保証があるのか不安。財務省は、教員の人数を大幅に制限しようとの方針を打ち出している。土曜授業を実施することが、安易に学力低下を懸念する世論へのその場しのぎとしての対応でないというのであれば、全体的なカリキュラムの徹底した学習機会の保証、それを担保する専門性を磨いた教員の養成、などは必須。財政的な裏付けがない。
 安倍首相の進める教育改革は、教育委員会制度は責任問題を問い教育長と教育委員長の一本化や首長に権限を持たせるなどの抜本的な方向性の転換、早期英語教育の導入、あるいは大学教育における学長権限の強化。いずれも現場の声に基づく丁寧な積み上げではなく、きわめて中央志向の、上意下達(じょういかたつ)の徹底を期待するようなもばかり。

 今回の補正は、国の財源確保に基づく措置が主。これらも貴重な税金を基にした施策であることはいうまでもなく、自主財源でないことからくる安易な政策展開にならないように。

 新年度予算が成立して間もない時期の補正、職員体制など、当初予算の執行には必要な事業を厳選し、適正な職員配置を進めていくことを求める。

■賛成討論
■陳情第1号  手話言語法(仮称)制定を求める意見書を国に提出することを求める陳情

障害者基本法、(地域社会における共生等)の書かれた第三条の三、には「 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」とある。
 可能な限り、との表現が制限的。陳情の趣旨の通り、手話言語法が制定されれば、あえて()で手話を含む、と書く必要性がなくなるというのが筋。
 ユニバーサルデザインの考え方を浸透させていくことを含め、官民共同で、危険性除去、生活利便性向上のための施策を展開することを明確にするうえでも、理念的確立は避けては通れない。

■陳情第2号  「憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認することに反対する意見書」を国に提出することを求める陳情

 集団的自衛権はすなわち、武力行使は前提。交戦権の肯定。したがって、憲法の解釈で解決すべきではない、とするのが憲法順守義務からいっても至極当然の結論。

 よって、この陳情に対しての判断は、慎重審議を期待しての継続審査かまたは、いま判断するのであれば、拙速な判断をいさめる意味での陳情採択以外には、考えにくい。委員会での賛成少数で不採択、との結論は意外であり、各地方議会で、疑問が呈されている状況を見ても、なにかこの陳情についての誤解があったのではないかと、いうのが率直な感想。

 1972年の政府見解を、たったこれだけの期間で変えてしまうようなことで日本の法治国家としての信頼性は保たれるのか。「おそれ」という表現が「明白な危険」と置き換わったとしても、ときの政権が判断する内容には明確な区分があるはずもない。これは単なる言葉遊びでしかない。


 同陳情を不採択にすることが、同時に積極的な解釈改憲による集団的自衛権の容認でない、という主張をされるのであれば、そのことをきちんと言明しておかねばならず、そのあたりをあいまいにすることが、日本の政治における地域主権の確立をより低下させているということがいえる。

 憲法順守の義務を果たしながらこの問題を進めるというのであれば、少なくとも衆議院の解散をして国民に信を問うか、あるいは国民投票を経て国民の意思を尊重する過程を経るべき。そうした民主的な手続きを無視して重要な問題を処理することだけは避けてほしい、政治に携わる者として譲れない思いを申し添えて、本陳情の採択に賛成する。